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【コラム】魔法の呪文になった検察改革=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.09.10 10:40
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「検察の選択的捜査、選択的正義で刀が鈍ったり最初から刀を抜かないなど誤った方向で過度に歪曲したケースを多く目撃した」。

法務部の秋美愛(チュ・ミエ)長官が6月25日に「先進捜査機関としてスタートするための高位公職者犯罪捜査処設立方向」という主題で開かれた公聴会でした話だ。過去の政権の検察捜査形態を批判した形だが、この指摘はいまでも有効だ。

 
秋長官は過去のどの法務部長官より強力な権限を行使している。法律条項に存在する捜査指揮権を発動し、検査人事権で尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長をほとんど無力化した。検察は別途の独立機関であるのに尹総長は自身が率いる最高検察庁参謀の人事権も行使できなかった。尹錫悦師団が没落した代わりに秋美愛軍団が浮上した。秋長官側ではこれを検察改革あるいは民主的統制だと包装する。

だが現在の「秋美愛検察」の現実はどうなのか。ソウル東部地検が担当した秋長官の息子の休暇未復帰疑惑捜査は8カ月にわたり続いている。ここに秋長官の息子が所属した部隊の将校が「秋長官(当時「共に民主党」代表)補佐官が休暇延長と関連して電話をしてきた」という陳述をしたが、ソウル東部地検の捜査チームがこれを調書に記載しなかったという疑惑まで暴露された。陳述が出たのにこれを記載しなかったのなら捜査の意志がないものと疑い受けるに格好の的だ。だれかの言葉のように刀が鈍ったのだろうか。

チョ・グク前長官一家の不正疑惑事件以降、検察の公報規則が強化され捜査は見えなくなった。被疑事実の公表を防ぐという名分だったが、検察が捜査をしっかりやるのか、そぶりだけ見せるものなのか分かりにくくなったという点は明らかだ。

メディアが具体的な検察捜査状況を知る方法は検察調査を受けた人の話を聞くことだ。今回の秋長官の息子の疑惑も同じ部隊で勤めた同僚兵士が問題を提起したものだ。それでもメディアがこうしたことを報道すれば「検察とメディアの癒着」扱いをする。秋長官は息子の問題が提起されるたびに国会で「検察とメディアの癒着が深刻だ」「検察とメディアの癒着ではないのか疑わしい時もある」と言及した。

チュ・チャングァン補佐官が電話したという陳述も抜け落ちているとの疑いをかけられるソウル東部地検が報道機関と癒着するものがあるかわからない。むしろソウル東部地検は知らんぷりで一貫している。いつからか検察改革と、検察とメディアの癒着は特定人物の過ちを隠して支持層を結集させる魔法の単語になった。不正疑惑を受ける政権核心メンバーに不利な報道は検察とメディアの癒着であり検察改革に抵抗する勢力が作ったものというフレームが作動する。

チュ・チャングァン補佐官の出身であるソウル市の議員は最近報道機関との電話で秋長官の息子の休暇未復帰疑惑に対し「本質は検察改革」と話したという。これに対し檀国(タングク)大学医学部のソ・ミン教授は「立ち小便をして警察に見つかった時に『問題は検察改革だ』と叫んでみよう。そうすればあなたは雑犯から突然正義の闘士に変身するだろう」と皮肉った。

秋長官は息子関連の議論が拡散すると7日に「迅速かつ徹底的に捜査し実体を究明することを国会での答弁などを通じて数回表明した。事件関連の報告は受けない」と話した。だがこれを言葉通りに受け止める人がいるだろうか。政権に不都合な捜査をしたり長官に反旗を翻せば間違いなく左遷される。

これに対し政権の関心がある捜査は無理なことをしても昇進する。7月末の家宅捜索過程でハン・ドンフン検事長と小競り合いをしたソウル中央地検のチョン・ジンウン刑事1部長は汚職暴行容疑で告発され監察対象に上がったが、最近の人事で光州(クァンジュ)地検検事補に栄転した。検察内部では「捜査をせずずるずる引き延ばせば栄転、捜査をしっかりすれば左遷されるのにだれが立ち上がる」という話が出ているという。秋長官が本当に迅速な捜査を望むならば具体的な指示をしなければならない。

検察改革は検警捜査権調整や高位公職者犯罪捜査処設置でだけなされるのではない。検察が国民の信頼を受ける捜査結果を出せるかが最も重要だ。このためには検察捜査の中立性が保障されなければならない。中立を守るには一定の独立性がなければならず、内部牽制が作動しなければならない。

だが最近の検察人事で見るように検察改革と民主的統制という名目でこれを崩してしまった。いくら検察改革を叫ぶといっても、検察が選択的捜査をしたり権力の前で鈍った刀になるならば無駄骨にすぎない

キム・ウォンベ/社会ディレクター

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