韓国検察総長が覚悟の発言…「民主主義の仮面かぶった独裁を排撃すべき」
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.08.04 09:43
1カ月ぶりに沈黙を破った尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長の最初の言葉は「自由民主主義は『法の支配(Rule of law)』を通じて実現する」というものだった。3日午後4時30分に最高検察庁で開かれた新任検事申告式でだ。法曹界では、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の「チャンネルA強要未遂疑惑」事件に対する捜査指揮権発動を批判したものだという解釈が出てきた。チョ・グク前法務部長官捜査、青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)蔚山(ウルサン)市長選挙介入事件など政権の核心を狙った捜査をし、与党から事実上の辞任圧力を受けた尹総長が、公式的な席で覚悟の発言をしたのだ。これに先立ち尹総長は先月8日、秋長官の捜査指揮に対して5行の立場表明をしたが、その後は沈黙を続けてきた。
尹総長がこの日「法の支配」に言及したのは、秋長官の指揮権発動で検察の独立性が侵害されたと判断したためとみられる。検察の独立性に対する保障なしに法の支配は実現されにくいが、民主的統制という名で政権が検察に介入しながら結果的に民主主義が崩壊していると批判したのだ。また尹総長は「我々の憲法の核心価値である自由民主主義は、平等を無視して自由だけを重視するのではない。民主主義という仮面をかぶっている独裁と全体主義を排撃する本物の民主主義」と強調した。これに対し法曹界では「総選挙での圧勝後に多数決の力を誇示している巨大与党を狙ったものではないのか」という分析が出ている。
尹総長は、秋長官が法務部と検察を事実上の上下関係と規定したことに対しても苦言を呈した。尹総長は「先輩らの指導と検察の決裁システムは命令と服従ではなく、説得と意思疎通の過程」とし「検事がすべきことのうち最も重要なのが説得」と強調した。これは先月8日に秋長官が作成したという法務部の立場文の草案で尹総長を「受命者」とした点に関するものと解釈される。開かれた民主党の崔康旭(チェ・カンウク)代表のフェイスブックに公開された草案には「受命者は従う義務がある」という表現が登場する。尹総長が秋長官の指揮に服従すべきという意味と解釈される。チャンネルA事件の捜査も同じだ。最高検察庁刑事課長らのほか中央地検捜査チームの検事らの反対にもかかわらず、李盛潤(イ・ソンユン)中央地検長の一方的な主張でイ・ドンジェ元チャンネルA記者に対する逮捕状が請求された。