韓国、一方では建設、一方では閉鎖…悩ましい石炭火力発電
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2023.06.10 10:20
5日午後、江原道三陟市積老洞(カンウォンド・サムチョクシ・ジョクノドン)の廃鉱山では石炭火力発電所建設工事が最終段階に入っている。ポスコ系列会社の三陟ブルーパワーが2018年から建設している「三陟火力1・2号機」で、工程率は約90%だ。韓国で建設される最後の石炭火力発電所となる。1号機は今年10月に、2号機は来年4月に商業運転を控えている。ところが三陟ブルーパワーは年初から進行予定だった試運転もまだ開始できずにいる。試運転燃料の陸上運送計画に対して住民が都心環境破壊だとして反発し、自治体が承認の撤回を要請すると、政府は再検討を指示した。
石炭火力発電は炭素中立(炭素排出ゼロ)の最大の障害物の一つであり、主要国が発電比率を減らしている。韓国も同じだ。文在寅(ムン・ジェイン)政権は忠清南道保寧(ポリョン)火力1・2号機を閉鎖し、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は2036年までに石炭火力発電所28基を徐々に閉鎖する方針だ。
ところが三陟火力1・2号機をはじめ、2021年以降に新たに商業運転を開始または計画中の石炭火力発電所は▼忠南新舒川(シンソチョン)火力▼慶南高城(コソン)ハイ火力1・2号機(以上、2021年)▼江原江陵(カンヌン)安仁火力1・2号機(2022-23年)など7基。炭素の排出を減らすとして石炭火力発電所を閉鎖する一方で新しく建設している状況だ。新規7基の投資額は約17兆ウォン(約1兆8300億円)、総発電量は7278MW(メガワット)で、年間温室効果ガス排出量は政府の推算で5018万トンとなる。