異常気候が続き主要国は気候変動速度を遅らせて自国の産業を保護するために見えない戦争をしている。気候変動対応を主導した欧州だけでなく、気候変動対応に関心を示していなかった米国は最近になり急に変化している。昨年パリ協定に再加入すると、先月２１日に上院でモントリオール議定書キガリ修正案の批准を終えた。この修正案は炭化水素化合物（ＨＦＣ）縮小を骨子とするが、ＨＦＣは国連の気候変動に関する政府間パネル（ＩＰＣＣ）で二酸化炭素より地球温暖化指数が最大１万１７００倍も高いと指摘した物質だ。

これに対し欧州連合（ＥＵ）だけでなく１３７カ国でこの修正案に署名した。これに対し米国は２０１６年のモントリオール議定書当事国総会で修正案を採択してから６年ぶりにようやく批准を終えた。キガリ修正案を批准していない国は２０３３年から関連製品の輸出が制限される。米民主党のシューマー院内総務はキガリ修正案批准後に現地メディアとのインタビューで「今回のキガリ修正案の批准はインフレ抑制法通過とともに議会の気候変動対応措置のうち最も強力なワン・ツー・パンチ」と明らかにした。

温室効果ガスを最も多く排出する中国も気候変動対応にスピードを出している。中国はすでに２０２１年９月にキガリ修正案の１２２番目の加入国となった。２０６０年までに炭素中立を実践するとして、昨年には親環境エネルギー転換に２６６０億ドルを一気に投じた。２０２０年より６０％増えた金額で、２位の米国の１１４０億ドルより２倍以上多く投資したものだ。習近平中国国家主席は１７日に行われた第２０回党大会で「先端装備、グリーン製品生産など『新成長動力グループ』を集中育成しなければならない」と強調したりもした。

こうした主要国の気候変動対応の動きは韓国企業に実質的な脅威として作用している。例えばＥＵは来年３月から強化されたテレビのエネルギー効率規定を適用することに決めた状態だ。強化された規定を適用する場合、韓国の電子企業は事実上欧州市場で競争が難しくなる見通しだ。現在サムスン電子とＬＧエレクトロニクスが販売している８Ｋ（７６８０×４３２０解像度）テレビとマイクロＬＥＤテレビなどはＥＵの基準に達していないためだ。このためサムスン電子が主導する「８Ｋ連合」は声明を通じ、「この基準が適用されれば欧州では８Ｋテレビを販売できなくなる。消費者だけでなく８Ｋテレビ生態系全般に打撃を与えるだろう」と明らかにしている。

代表的な環境規制対象に挙げられる自動車産業も同様だ。環境問題に敏感な欧州では２０３５年からガソリンとディーゼルなどエンジン車の販売を禁止する計画だ。米カリフォルニア州をはじめとしてカナダのケベック州、中国・海南省なども２０３５年までに内燃機関自動車の販売を事実上禁止することにした状況だ。韓国の自動車メーカーが２０３５年までに電気自動車などエンジン車をエコカーに転換できなければ競争から押し出されかねないのだ。これに対し尹錫悦（ユン・ソクヨル）大統領も就任前にエンジン車の早期退出を提示したことがある。だが自動車協会など業界の反発の中で公約は「２０３５年無公害車転換目標設定推進」と退き、まだ追加の進展はない状況だ。

【異常気候が呼んだサプライチェーン危機】韓国の産業用電力消費３７２％増加（２）