慶尚南道金海市（キョンサンナムド・キムヘシ）が文化財庁と事前の協議なく世界最大規模の「亀山洞（クサンドン）支石墓（コインドル、慶尚南道記念物第２８０号）」復元・整備工事を行っている途中で墓地の原形を毀損したことを受け、文化財庁が現場調査を行う。文化財庁は今回の調査で違法事項が確認されれば、法的措置に出る方針だ。

◆１１日から２～３日間、現場調査の予定

１０日、文化財庁によると、１１日から同市にある「亀山洞支石墓」に対する現場調査が実施される。亀山洞支石墓域で発生した具体的な毀損程度を把握するためだ。調査は文化財庁所属の国立伽揶（カヤ）文化財研究所が引き受ける。期間は２～３日程度を要する見込みだ。

これに先立ち７日、文化財庁は報道資料を通じて「（亀山洞支石墓の）毀損範囲を把握できる発掘調査を施行し、違法事項に対する法的措置を取る予定」と明らかにした。「整備工事の過程で金海市が埋蔵文化財法に違反して無断で（埋蔵文化財の）現状を変更した事実を確認した」という理由でだ。

埋蔵文化財保護および調査に関する法律（埋蔵文化財法）によると、すでに確認された埋蔵文化財遺存地域の現状を許可なく無断で変更した者は１０年以下の懲役や１億ウォン（約１０２２万円）以下の罰金に処することができる。

文化財庁発掘制度課関係者は８日、中央日報の電話取材に対して「（亀山洞支石墓の毀損は）埋蔵文化財法違反事案なので、調査以降、警察に捜査を依頼することになるだろう」と話した。続いて「メディアの報道が多くあったように国民の関心も大きいため、最大限迅速に進めたい」と話した。

◆金海市監査官室も事実関係把握に乗り出す

金海市も９日から市監査官室を通じて「亀山洞支石墓の毀損」に関連した調査を進めている。市監査官室関係者は「正式な調査ではない」としつつも「政府機関の法的措置が取られれば市にも関連の通知が来ると思われるので、事実関係など前もって現況把握を行っている」と話した。続いて「埋蔵文化財のようなものの場合、文化財庁と事前に協議するように取り決めがあるが、（担当部署が）それを守らなかったことは間違いないようだ」と話した。

これに先立ち、金海市は支石墓の上石（覆う石）の下の墓地を表示する薄石（底石）を一つ一つ持ち出して洗浄・表面強化処理を施した後、再び同じ場所に敷き直す整備工事を行った。文化財庁はこの過程で薄石の下の文化層（遺物が残っている可能性があり過去の文化を知るために参考になる地層）を触り、一部損傷したと判断している。

文化財庁は金海市のこのような整備工事自体が文化財毀損行為だとみている。基本的に亀山洞支石墓のような埋蔵文化財遺存地域は原形のまま保存することが原則だからだ。特に金海市は埋蔵文化財遺存地域の現状を変更するには文化財庁との事前協議を通じて文化財保存対策を樹立して履行しなければならないが、そのようにしなかった。

金海市は「文化財庁協議を経なかった部分は落ち度だったと認める」としつつも、亀山洞支石墓が慶尚南道記念物なので同地の現状変更許可だけを受けて整備工事に着手したと釈明した。

ところが金海市は昨年８～９月、亀山洞支石墓の埋蔵主体部に対する精密発掘調査の結果を基に、復元・整備計画を変更・樹立する過程で慶尚南道文化財委員に「すべての整備（案）は国家史跡指定と並行して事前に文化財庁文化財委員との緊密な協議が必要」という諮問まで受けたと確認された。

◆「国家史跡」指定申請も撤回

波紋が大きくなると金海市は８日、「国史史跡指定申請」を撤回するという内容の公文書を文化財庁に送った。亀山洞支石墓の国家史跡昇格を推進中の金海市は、今年１月、亀山洞支石墓を国家指定文化財である史跡に指定するよう求める申込書を提出していた。

亀山洞支石墓は２００６年金海市亀山洞の宅地地域開発事業当時に発掘された遺跡だ。学界では支石墓の上石の重さが３５０トン、支石墓を中心にした墓地施設が約１６００平方メートルに達し、世界で最も規模が大きな支石墓とみている。

だが、当時金海市は世界最大と推定されるほど支石墓の規模が大きく、当時の発掘技術と予算確保に困難があったため、埋め戻して保存してきた。その後２０１９に年総合整備計画樹立、２０２０年２月に最初の整備事業実施設計業務に着手して復元・整備事業が始まった。