【時視各角】リプリー症候群のない社会=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.12.29 12:02
リプリー症候群とは自ら作り出した嘘を信じる精神状態を意味する。米国の犯罪小説『リプルリ』(1955年)での主人公リプリーの偽善的人格障害に由来する。「リプリー病」「リプリー効果」ともいう。リプリーは富豪の友人を殺害した後、自身がその友人であるかのように生きていく。身分を偽るために果てしなく嘘をつく。これを原作に1960年にアラン・ドロン主演の映画『太陽がいっぱい』が作られ、1999年にはより原作に忠実な『リプリー』が再映画化された。
このリプリー症候群が最近韓国の政界にも召還された。虚偽履歴疑惑がふくらんだ「国民の力」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領候補の妻キム・ゴンヒ氏と関連してだ。ある与党議員は2007年に世間を騒がせた申貞娥(シン・ジョンア)氏の学歴偽造事件を引き合いに「キム・ゴンヒ氏の(虚偽)回数はもっと多い。本当に慎重であるべきだが、もしかしてリプリー症候群ではないのかと思うほど」と話して反発を受けた。大統領選挙を控え無差別な政治攻勢を展開する渦中であってもリプリー症候群に例えたのは常軌を逸したものだ。