【コラム】文大統領の危険な勝負手(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.01.22 09:35
逆に考えてみよう。もし文大統領が「所得主導成長の結果が悪いから政策を変える」としたとすれば、どのようなことが起きたのだろうか。2018年夏にしばらくそのような兆しを見せると、正義党の魯会燦(ノ・フェチャン)議員は「所得主導成長を捨てて所得放棄成長をするということか」として非難した。民主労組と参加連帯も「従来の政策を強化してさらに攻撃的な財政政策を展開してほしい」と圧力をかけた。その後、大統領の発言は「非常に痛い地点」→「所得主導政策の効果をあげるには時間がかかる」→「韓国経済は正しい方向に向かっている」というような話法を繰り返した。かえって政策転換や協力政治・不偏不党を期待したのが純真な考えだった。
青瓦台の人々が語るもう一つの共通分母は政権再創出に失敗するかもしれないという漠然とした恐怖だ。文大統領は盧武鉉氏のそばで総選挙・大統領選挙に敗北する場合、どのようなみじめな末路を迎えるのか最も近くで見守った。そのせいか昨年末から無理に選挙法を直して総選挙の変数になり得る検察の捜査は急いで無力化している。捜査の矛先がチョ・グク氏に続いて金慶洙(キム・ギョンス)氏・ユン・ゴンヨン氏・ぺク・ウォヌ氏・チョン・ギョンドゥク氏にまで向けられると「検察改革」という名で「尹錫悦(ユン・ソクヨル)ライン」を直接除去した。想像することさえ難しかったことを全く恥を感じずに全うしている。
これ以上陣営論理かどうかを問い詰めるのは贅沢なことだ。文大統領は4月の総選挙を全面戦争であり、最後の勝負所とみて報告総力戦を覚悟している。これに比べて依然として保守野党圏はさ迷っており、安哲秀(アン・チョルス)前議員まで帰国した。だが、過去10年を振り返れば安哲秀氏の新しい政治は「火田民政治」だった。土壌の良い首都圏や湖南(ホナム)地域に戻って火をつけて一時期の収穫を得てから荷物をまとめた。中道を掲げた彼の新しい挑戦が成功するかどうかは様子を見守ることだ。今度は火をつける空間さえ見当たらない。