<ノーベル賞の話>ノーベル賞を受賞しようとするなら(2)研究所ベンチマーキング=韓国(下)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.11.24 15:10
韓国の大学と支援機関の雑貨店式な運営方式は、新任教授が成長するためにも大きな障害となる。例えば韓国の大学では有望な若い科学者を引き抜いておいては実験室の空間だけをぽつんと与え、せいぜい1~2億ウォン程度の開始予算を与える。学部は雑貨店のように数多くの専攻者などで形成され、新任教授との連係性が少ないためにこの若者は自分の実験室をまともに整えてみようと3年以上をあちこち奔走しながらエネルギーを消耗し、創造力と競争力を喪失していく。結果的に韓国では、優れていた人物を連れてきて凡人にしてしまうケースが少なからず起きる。
LMBのケースを見れば私たちの進む道は明確だ。まず科学的な能力と見識があるリーダーを起用し、彼が最低10年はつとめながら特定分野を集中的に育成できるようにして、最低5年単位で予算を支援し、先進国レベルの実験インフラを備え、論文発表の実績による計量評価よりも研究テーマの科学的価値をはかる定性評価システムを認めることだ。これを実践するために多くの予算が必要なことは決してない。
このような常識的水準の案が韓国ではまともに働かない理由は何だろうか。まず研究者自身の不足した科学的見識が挙げられる。微細な科学には強いが「big questions(大きな問い)」が何なのかを把握し、これを実践(すなわち実験で証明)というところには弱いのが韓国科学界の現住所だ。このような状況で研究者たちは微細なテーマを持って激しい研究費の確保競争を行っていたら、科学界は相手方を引き降ろすこと、権力につながること、さらには陰湿な攻撃と投書で四分五裂となる。このような状況になったことには、研究成果を有名学術誌への論文発表実績で計量化する現政策も大きな役割を果たした。結果的に科学界の分裂と混乱は官の介入を正当化することになり、公務員が科学界を微細管理する結果を招いた。