【コラム】高成長終末時代対処法=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.10.07 10:45
町内の下着店に「廃業整理、爆弾セール」の垂れ幕がかかった。安く下着を購入しようと考え妻と立ち寄り店主の哀訴に足を止めた。余計なことと思いながらも耳を傾ける人が必要そうだった。彼が下着店を出したのは通貨危機直後の1998年。多くの金は稼げなくても子どもを育てて暮らすのには支障がなかった。ところが2008年の金融危機後に状況がくっきりと悪化し始めた。売り上げが少しずつ減り、この数年間は維持するのが難しいほどになった。賃貸料でも下がればそれなりに持ち堪えることはできたが、むしろ賃貸料はさらに上がった。2年間賃貸料をめぐりビルのオーナーともめたりもしたが、「他のテナントも上げるのだから上げなければならない」という強情に廃業を決心した。ビル内の商店街活性化に下着店の功労があったことを認められず、物価上昇率の何倍も賃貸料を引き上げられ廃業を強要されている現実を受け入れるのは難しかった。
彼の主張が正しいか正しくないかは論外だ。確実なことは彼が挫折し怒っているという事実だ。さらに大きな問題は韓国社会に年齢・階層を問わずこうした人たちが急速に増えているということだ。サラリーマンの人生を奴隷と卑下し韓国社会を地獄に例えた「ヘル朝鮮」、金のスプーンと対比した「土のスプーン」などの表現が流行語になるのが現実だ。4年制大学卒業者の半分が就職先を見つけられず、5人に1人の割合で非正規職で、自営業生存率が16%にすぎない社会が健全なはずがない。分裂と破壊の端緒になりかねない。
それなら以前のように毎年6~7%ずつ経済が成長するとこうした問題は解決されるだろうか。可能かどうかは別として、それだけ成長しても問題は解決されないだろう。韓国の問題が相対的貧困、相対的剥奪感である理由だ。1人当たり国民所得が3万ドルに迫っているのに不幸と感じる人が多い理由だ。特に二極化で成長の果実が一部に偏る現在のような構造では成長は万病に効く薬になれない。