こうしたインキュベーターのほかにエンジェル投資家もいる。３１歳の宮澤弦氏が代表的な人物だ。２００４年に東京大学を卒業してすぐに携帯電話の位置情報と連動した広告発信事業を始め多くの資金を確保した。２０１０年にこの会社をヤフーに売却しヤフーの社員に転身したが、その後初期ベンチャー企業に対する投資業務も行っている。

時事週刊誌のアエラによると、２７歳の社長が設立したベンチャー企業リンドックは宮澤氏から資金支援を受けたおかげで、「クラウド内に利用者の本棚を作り同じ本を読んでいる利用者同士でコメントを共有できるサービス」を行ない大ヒットした。宮澤氏は「雇用を創出し技術革新をもたらすベンチャー創業家を応援しなければ日本の未来はない。企業家が増えてこそ日本が良くなるという信念を持っている」と話した。この数年間にこうした土壌が固められながらベンチャー精神が胎動できる日本国内の環境生態系が造成された。ニューヨークタイムズは「創業と企業公開に関する統計は正確に捉えられていない」と前置きし、「この２～３年で数百の新しいインターネット・技術関連会社が雨後のたけのこのように生まれている」と伝えた。

だが、アベノミクスの胎動を前後して日本に再び新たな風が吹いている。日本の名門大学も大学独自のベンチャーファンドとインキュベーターを作るなど動き始めた。アエラは、２０００年代初期の創業ブームが日本の国内市場を目標にしたものだったとすれば、最近の創業ブームは世界を目標にしているということが異なると意味を付与している。


実弾３億ドルを追加、ベンチ莃ー企業支援する日本（１）