政府の人事問題で波紋が広がる中、朴槿恵（パク・クネ）大統領が３０日、収拾モードに入った。まず、数回返戻した陳永（ジン・ヨン）保健福祉部長官の辞表を受理した。

朴大統領の代わりに陳長官の辞表を受けた鄭ホン原（チョン・ホンウォン）国務総理は「国務委員として国民のための任務を果たせないと判断し、辞表を受理しようと思う」とし「陳長官が国民に見せた一連の事態については極めて遺憾」と述べたと、国務総理室が伝えた。

“隠し子”疑惑が浮上した蔡東旭（チェ・ドンウク）前検事総長の辞表受理（９月２８日）に続き、陳長官の辞表も受け入れたことで、人事をめぐる波紋を収拾するという意志を表したのだ。

これに先立ち朴大統領は午前の首席秘書官会議で、「批判を避けたからといって問題が解決されるわけではない」とし「堂々とすべての問題を解決するという意志と信念が結局、その問題を解決できる」と指摘した。自分に背を向けた陳長官に対して公開的に厳しく忠告することで、人事問題がこれ以上広まるのを防ぐという朴大統領の意中を表した。

内閣改造説にも釘を刺した。李貞鉉（イ・ジョンヒョン）広報首席秘書官は「今の段階ではっきりと言えるのは『内閣改造はない』ということ」と述べた。陳長官の辞表を受理した日に内閣改造はないと釘を刺したのは「朴槿恵スタイル」という分析が政界から出てきた。下半期の最大のヤマ場である通常国会が進行する中、内閣改造説によって内閣が動揺し、国政運営に支障が生じる事態を防ぐという意志を強調したという説明だ。むしろ現体制に力を与え、下半期の経済活性化と民生回復で成果を出すということだ。

青瓦台の関係者は「朴大統領が下半期の国政基調として経済回復と雇用創出を強調し、これにまい進しているだけに、局面転換のために内閣改造をすれば下半期のスケジュールに支障が生じるおそれがあるうえ、人事に力を注ぐ余裕もない」とし「局面転換用の内閣改造をしないというのは朴大統領の普段からの所信」と話した。長官が空席となった福祉部は当面、次官代行体制で運営される見込みだ。

青瓦台の一部では「内閣改造はない」というのが朴大統領の考えだが、適任者が現れればいつでも抜てきする雰囲気も感知されている。しかし予算案の処理が終わった年末または来年初めには大規模な内閣改造が避けられないという見方も出ている。