日本では以前から地方が強かった。地域別で開かれる数千にのぼる「祭り」は今でも伝統として引き継がれている。新しい組織に入れば必ずどの地域の出身かをまず紹介する。地方ごとに自負心があり、気質が違うからだ。
しかし日本を近代化した明治(1868年)維新は日本の地方を強力な中央集権体制で括った。1955年に始まった自民党体制は絶頂期だった。高度成長で金庫が温かくなった自民党は予算配分を通して全国47都道府県を掌握した。この体制を支えたのは中央政府の国家公務員だった。自民党の長期政権の下、官僚は各種規制権限を握り、天下り人事などで特権を享受する「貴族官僚」になった。