イランが史上初めてイスラエルに直接攻撃を敢行した。１３日夜、イスラエルに対する報復攻撃として武装ドローンと巡航ミサイル・弾道ミサイルなどを動員した空爆を開始した。親イラン武装勢力のヒズボラとフーシ派も攻撃に加勢した。１日にイスラエルがシリアの首都ダマスカスのイラン領事館を爆撃しイラン革命防衛隊の高位指揮官らを除去してから１２日ぶりだ。イランとイスラエルの間にあるイラクとヨルダンなどが領空を閉鎖した中で、イスラエルは米国、英国などとともにイラン攻撃を防いでいる。

ロイター、ＡＦＰ通信、タイムズ・オブ・イスラエルなどによると、イラン革命防衛隊はこの日声明を通じ「今月初めのイスラエル軍による在シリアのイラン領事館攻撃などイスラエルの繰り返される犯罪への対応として『真実の約束作戦』を開始した。数十機のドローンと巡航ミサイルなどを利用してイスラエル領内にある特定の目標物を打撃するだろう」と明らかにした。イランが敵同士の関係であるイスラエルに向かって直接攻撃したのは初めてだ。

親イラン勢力であるレバノンの武装勢力ヒズボラはイスラエル北部のゴラン高原にロケット砲を発射し、イエメンのフーシ派はイスラエルの港湾に向け数機のドローンを飛ばしてイランを支援した。

ＣＮＮは「イランの今回の大規模攻撃は米国が昨年１０月初めにイスラエルとパレスチナのイスラム組織ハマスとの戦争が始まってから避けることを望んでいたシナリオ」と伝えた。ＢＢＣは「だれもが恐れていたイラン・親イラン勢力とイスラエルとの正面対決が始まった。この戦争が全面的な中東戦争に拡大する危険がある」と指摘した。

イスラエル軍の首席報道官は「イスラエルは初期段階で遮断するために備えている。防空網は完全に作動しているのでイスラエル国民は全員避難所に入るように」と発表した。イスラエルは米国、英国、ヨルダンなどとともに飛来するドローンを迎撃している。これに伴いイスラエル全域で避難警報と爆発音が聞こえている。

イランは１３日夜から１４日明け方にかけ時差を置いてドローン攻撃を加えている。出撃したドローンの少なくとも１００機以上がイランからイラクのスレイマニヤ州方向へ飛行中だ。このドローンは１４日午前２時～２時３０分ごろイスラエル領空に到着すると予想される。イラクの夜空にイランのドローン「シャヘド１３６」が飛行する映像がソーシャルメディア（ＳＮＳ）のＸに上がってきた。

イスラエル軍で情報部門の責任者を務めたアモス・ヤドリン氏は現地テレビ局のニュース番組に出演し、「イランのドローンにはそれぞれ２０キログラムの爆発物が装着されている」と伝えた。イスラエル空港当局は１６日０時３０分から領空を全面閉鎖した。

◇米国「イスラエルの安全保障支持は鉄壁」

イランの攻撃でイスラエルとイランの間にあるイラク、ヨルダン、シリア、レバノンなどは速やかに領空を閉鎖した。イラク交通省は自国国営通信社ＩＮＡに「１３日午後１１時３０分から１４日午前５時３０分まで閉鎖されるだろう」と明らかにした。

米国の中東地域の同盟国であるヨルダンは自国領空を侵犯するイランのドローンと航空機を迎撃し撃墜する準備をしたとロイターは伝えた。イスラエルもヨルダンの支援を受けヨルダン上空で直接イランのドローンを迎撃した。これに対しイラン国防省は周辺国に「イスラエルに領空を開放する国はすべて標的になるだろう」と警告した。

イスラエルのネタニヤフ首相はテルアビブの軍本部でガラント国防相、ハレビ参謀総長、ハネグビ国家安全保障顧問らとともに戦争内閣会議を始めた。

米ホワイトハウスも「イランがイスラエル空爆を始め、イスラエルだけでなく他の同盟国とも持続して疎通している」としながらバイデン米大統領が国家安全保障チームから状況報告を受けていると明らかにした。ホワイトハウスはイスラエルの安全保障に対するわれわれの支持は鉄壁だというのがバイデン大統領の立場だとし、「米国はイランの脅威に対抗する人たちの側に立ち防衛を支援するだろう」と強調した。

英国のスナク首相も声明でイランのイスラエルに対する無謀な攻撃を非難した。彼は「今回の攻撃は緊張を高めさせこの地域を不安定化させる危険がある。イランは自身の裏庭で混乱を起こそうとする意図を改めて見せた」と批判した。続けて「英国はイスラエル、ヨルダンとイラクを含む地域のパートナーの安全保障に向け支持を続けるだろう」と強調した。