ＭＺ世代の「ビーガン（菜食）ブーム」を狙って代替肉市場に参入した韓国の食品企業が思ったよりも遅い成長で苦戦している。価格は高いがおいしくないという消費者の認識を破れないことが最大の障害だ。企業はビーガン文化に意味を付与する代わりに健康食を強調して需要層を広げるとともに海外に目を向けて市場開拓に出た。

◇英代替肉ブランド、ＳＳＧドットコム入店

ＳＳＧドットコムは７日、英国の植物性代替肉ブランド「リンダ・マッカートニー」が作ったハンバーガー、ミートボール、ソーセージロールなど４種を販売すると明らかにした。リンダ・マッカートニーはビートルズのメンバーのポール・マッカートニーの前妻が自身の名前を付けて１９９１年に立ち上げたブランドで、肉の代わりに還元大豆タンパク質を使う。

現在ＳＳＧドットコムのグルメ館には新世界フードの「ベターミート」、プルムワンの「プルムワン地球食単」、ＣＪ第一製糖の「プランテーブル」、東遠（トンウォン）Ｆ＆Ｂの「マイプラント」などのビーガン食品ブランドが代替肉商品を販売中だ。ＳＳＧドットコムのイム・ユジョン氏は「健康を考える消費者に向け有名ブランドの代替食品供給を拡大している」と話した。

◇製品は増えたが依然として狭い市場

代替肉は豆や野菜などの植物を加工して作った植物性代替肉や、動物から細胞を採取して実験室で作る栽培肉などだ。代替肉市場が活性化した米国では２００９年に設立されたビヨンド・ミート、２０１１年に設立されたインポッシブル・フーズなどが作った製品が人気を呼んだ。

韓国ではフードテックとネットゼロ（炭素中立）に対する関心が高まり２０２０年から関連商品が大きく増えた。新世界フード、プルムワン、ＣＪ第一製糖のほか、オトゥギ、農心なども市場に参入した。動物の権利を強調して触発されたファッション業界のビーガンブームも韓国の代替肉市場形成に一役買った。韓国菜食連合は韓国のビーガン人口を約２５０万人と推定している。

だが期待とは違い裾野の拡大速度は遅い方だ。オープンサーベイが先月１３～１４日に韓国人消費者１０００人を対象に調査した質問によると、回答者の４６．４％は代替肉を食べたことがあるが、この３カ月以内食べた人は７．１％にとどまった。代替肉を食べたことのない人のうち５５％は「味が良くなさそうだ」と答えたが、実際に代替肉経験者も味と香り、食感と質感に不満な場合が多かった。代替肉を食べてみたが最近では食べていないという人のうち４１．２％は「味と香りが良くなかった」、３７．９％は「食感や質感が良くなかった」を理由に挙げた。

代替肉市場を主導した米国では高い価格が足を引っ張っている。２０１９年に米ナスダック市場に上場したビヨンド・ミートの株価は２０２１年には１８０ドルに迫ったが、今年は７～８ドル台にとどまっている。米農業金融大手コバンクは昨年の報告書で「消費者は動物性たんぱく質と比較してポンド当たり数ドルずつ高い植物性肉を買うことを敬遠している」と分析した。高物価の状況では価値消費に対する需要が弱まり安い本物の肉を求める需要が増えるほかないと分析される。

◇健康食や海外市場に領域拡大

このため代替肉を流通する韓国の食品業界は健康食の概念にマーケティングの方向を定めている。環境保護や持続可能食品の意味を強調するよりはコレステロール含有量が低く繊維とビタミンが豊富な植物性蛋白質本来の強みを強調して出たのだ。

これら企業は海外市場に可能性を求めている。特に中国市場の成長が速い。韓国農水産食品流通公社（ａＴ）によると、昨年の中国の植物性代替肉市場は１３０億ドル規模と集計された。２０２２年に習近平中国国家主席が食糧安保に向け代替たんぱく質産業の育成を強調して市場が急激に成長したが、関連企業はまだ多くない。食品業界関係者は「代替肉とビーガンフード市場は長期的観点から投資して育成しており、研究開発を持続しているため味と食感に対する不満も徐々に改善されるだろう。着実に技術を確保し商品を増やすならば内外の市場で定着する機会がくるだろう」と話した。