◇「核、幾何級数的に増やせ」…核心原料はプルトニウム

国際舞台で中国はロシアとともに強固な「後ろ盾」の役割をしている。特に国連安全保障理事会では北朝鮮の核・ミサイル高度化をことごとに擁護し国連を事実上まひさせた状態だ。

特に中国とロシアは２１日の首脳会談で高速中性子原子炉協力契約を結んだ。高速中性子原子炉発電を通じて生産されるプルトニウムと関連した協力で、事実上ロシアが中国に核爆弾の主原料であるプルトニウムを供給できるようになるという意味だ。中国がプルトニウムを大量に確保する場合、これは短期間でも急速な核弾頭拡大につながる恐れがある。

プルトニウムが必要なのは北朝鮮もやはり同じだ。２８日の北朝鮮メディアの報道によると、金委員長は核弾頭の実物を確認した後「核兵器保有量を幾何級数的に増やすべき」と指示した。金委員長は続けて「兵器級核物質の生産を先を見通して拡大し、引き続き威力ある核兵器の生産に拍車をかけていかなければならない」と再度指示した。

現在核物質をはじめとする事実上全分野の制裁を受けている北朝鮮の立場で金委員長の指示のように核物質を速やかに確保できるのは事実上中国チャンネルが唯一だ。

◇腹をすかせた住民には「反米」強調

前日に核弾頭の実物を公開するなど大々的な「核広報戦」を行った北朝鮮メディアは、２９日には一斉に反米意識を鼓吹しようとする扇動性記事を住民らが読むメディアに掲載した。

朝鮮労働党機関紙の労働新聞は、「不倶戴天の敵に世紀と世代を継いで百倍千倍に固めてきた英雄朝鮮の絶対的力、不敗の自衛の味がどんなものかをしっかり見せつけようという声が絶えず流れている。敵を絶対に容赦せず無慈悲に懲罰するだろう」と威嚇した。

また「元山（ウォンサン）上陸」「平壌（ピョンヤン）占領」「斬首作戦」などに言及しながら「口にすることさえはばかられる考えただけでも歯ぎしりするほどの敵の卑劣なやり方に全国の全人民が激怒した」と主張した。最近では国営メディアを通じて韓国を「主敵」と想定した「対南対決戦」という表現も登場している。北朝鮮がこうした表現を使ったのは１１年ぶりだ。

北朝鮮が全住民が見る国営メディアに露骨な言葉で非難報道を出すのはまれなことだ。全国的に餓死者が発生するほどの経済難に直面した北朝鮮が反韓・反米意識を誘発することで内部の結束を試みようとする意図と解釈される。

これに対し統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「金正恩政権の立場では米国が戦略資産まで展開した状況でミサイル挑発のほかこれといった軍事的対応策はない状況。反米意識を意図的に呼び起こすのは食糧難をはじめとする内部の民生問題と関連した民心離反の可能性を管理するための次元」と解釈した。

戦術核ちらつかす北朝鮮…外部からは中国大使受け入れ、内部では反米感情高める（１）