電気自動車補助金と関連し韓国政府と米国政府の立場が韓国の自動車メーカーに有利な側に同時に傾いている。米国のインフレ抑制法施行で昨年下半期に現地で韓国製電気自動車販売が停滞した状況で反騰が期待される理由だ。

１日の業界によると、現代自動車グループは米国のインフレ抑制法施行による７５００ドルの税制優遇対象車両にリース商品も含まれるという最近の決定により米国内のリースシェアを１桁から２桁に増やす予定だ。これに先立ち米財務省は先月２９日にインフレ抑制法の電気自動車税額控除規定と関連した追加指針を公開し、税額控除を受けられる電気自動車に対し「納税者が再販売ではなく直接使用またはリースのため購入した車両」と定義した。これは韓国政府が米国政府に昨年８月以降要請してきた内容でもある。

◇ヒョンデ、米国でリースの割合増やす

リースは一定期間自動車を顧客に貸し保証金とともに毎月一定額を得る販売方式だ。消費者は常に新しい車に乗り中古車を容易に処理でき、自動車メーカーの立場でもそれだけ新車をさらに多く売れる長所がある。米国の新車市場でヒョンデのリースの割合は約５％にとどまる。他の自動車メーカーは３０％を超えて維持するケースもあり、ヒョンデが販売割合を増やせる余地はある。

ヒョンデは昨年、米国進出３６年で累積販売１５００万台を達成する記録を立てたが、エコカー販売は８月のインフレ抑制法施行後停滞傾向を見せている。ヒョンデ米国販売法人のＨＭＡによると、２０２１年１２月に発売された電気自動車「アイオニック５」はインフレ抑制法が施行され昨年８～１１月の月平均販売台数が１３９８台で４～７月の２３５７台に比べ６０％水準に落ち込んだ。１～１１月の米国内電気自動車販売台数は５万３６６３台で、フォードの５万３７５２台に逆転された。

ヒョンデの株価は昨年、年初より７０％水準に下落した。大徳（テドク）大学自動車学科のイ・ホグン教授は「フォードやゼネラルモーターズ（ＧＭ）のような伝統的な米国自動車メーカーが今年はさらに多様な電気自動車を出すだろう。電気自動車販売成績が未来の株価の方向も決めるだろう」と話した。ニューヨーク市立大学のポール・クルーグマン教授も最近ニューヨーク・タイムズを通じ「インフレ抑制法は電気自動車を早く一般化させ（米国で電気自動車市場を開いた）テスラがこれ以上特別に見えないだろう」と明らかにした。

◇ヒョンデの株価、昨年年初比７０％水準

韓国では今年電気自動車補助金施行を控え直営サービスセンターと外部電力供給技術（Ｖ２Ｌ）を備えた業者にさらに恩恵を与えようという案が出ており、現代自動車グループに有利な状況だ。環境部の新たな案がそのまま施行されるならば国産電気自動車と輸入電気自動車の補助金に最小２５０万ウォン以上の違いが生じるとの分析も出ている。大林大学自動車学科のキム・ピルス教授は「補助金を受ける中国製電気自動車の割合が増えることから韓国の電気自動車産業を保護するために出てきた代案かもしれない。韓国企業が電気自動車専用生産ラインをさらに積極的に増やせるよう誘導しなければならない」と話した。

現代自動車グループはサウジアラビア政府と現地で自動車生産を拡大するための業務協約（ＭＯＵ）を締結し、中東でさらに収益を出す可能性もある。現地メディアは今回のＭＯＵにヒョンデがノックダウン方式で電気自動車工場を設立する計画が含まれていると報道した。これに先立ちサウジのアル・トワイジリ経済企画相（当時）は２０１９年に韓国を訪問し「サウジの自動車需要は年間３０万台水準だがサウジのインフラを活用して中東地域に進出すれば需要が年間２００万台に達する」と明らかにした。韓国自動車研究院のイ・ハング研究委員は「ロシアと中国の販売比率が減少している状況でヒョンデは収益源を多角化しなければならない」と話した。