ウクライナ北東部ロシア国境地帯からわずか４０キロメートル離れたハリコフ。人口１４０万人が住むハリコフはウクライナ第２の都市で、ロシア侵攻時の潜在的ターゲットに挙げられている地域の一つだ。先月、ウクライナ政府はハリコフを含む各大都市の市民が、ロシア軍空襲時に退避できる地下避難所の位置を地図に表示してウェブサイトに掲載した。ハリコフ民防衛のイバン・スコール局長は現地メディアのインタビューで「我々の地域内には地下バンカー４３００カ所があるが、このうち約８０％が使用する準備ができている」と説明した。

だが、１５日（現地時間）、英国スカイニュースがハリコフ現地を取材した結果、１００カ所余りだけが地図上の位置と一致し、これさえも９６カ所は出入り口に鍵がかかっているか、到底人が過ごせる場所とはいえない水準であることが明らかになった。避難所を試しに訪ねてみたという地域住民は室内の状態が最悪だとし、首を横に振った。妻が臨月だというある市民は「マンション団地の下の避難所は下水道が浸水していて悪臭がひどい」とし「戦争が近づいても、到底妻を連れてここに逃げて身を守ることはできない」と懸念した。スカイニュースはロシア軍の空襲時、ウクライナ国民が身を隠すことができる臨時の避難所の維持・管理が適切ではないと指摘した。

人口３０万人のウクライナ南部都市ヘルソンの状況もハリコフと大きく違わない。ヘルソンは２０１４年ロシアが強制合併したクリミア半島から１５０キロメートルほど離れた港町だ。ラジオ・フリー・ヨーロッパ（ＲＦＥ）などによると、ウクライナ情報当局はロシアが全面戦争に突入する場合、ヘルソンのような港町から陥落するだろうとみている。

ヘルソン市議会が今月初めに発刊した報告書によると、市内にある臨時避難所１３９カ所は理髪店・タトゥー施術所など民間事業場に変質していた。また、残りの一部は数十年間放置されていたことで荒廃し、「使用不可能」判定を受けた。市議会側は「臨時避難所のうちわずか１７カ所だけが政府管轄なので統制が難しい」という説明した。

人口２９５万人の首都キエフの空襲避難所の状況はまだましなほうだ。地下鉄駅舎を含めてバンカーとして活用できる地下通路と駐車場が多いためだ。キエフ市議会側は「４５００～５０００カ所の地下避難所のうち８１％ほど使うことができる」とし「残りも適切な使用施設水準に引き上げるために所有主と協力している」と明らかにした。しかし米ＡＢＣ放送が確認したところによると、一部は飲食店・商店はもちろん、酒場・ストリップクラブなど遊興飲食店としても改造されていた。

このような状況のため、ウクライナ政府が避難所の管理から事実上手を離していたのではないのかという指摘が出ている。スカイニュースは「国境緊張が高まっているが、ウクライナ政府は戦争準備が不十分だ」と皮肉った。ＲＦＥの自社集計によると、ウクライナ全域の公式避難所２万１０００カ所のうち１１％だけが正常なバンカーとして機能するものと把握された。

これに対して一部市民は各自が戦争に備える動きに出ている。ハリコフ在住のエレナさんは娘を連れて１週間に２回、パスポートなどが入った非常脱出用カバンを持って家の近所の隠れ場所に避難する練習をしている。エレナさんはスカイニュースに対して「私は２０１４年親ロシア分離主義勢力が占拠した東部都市ルガンスクに脱出した経験がある」とし「思い出すのも嫌なそのようなことが再び起きないことを祈っている」と話した。