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【コラム】食糧難とデルタ株の脅威に置かれた北朝鮮、指導者の威信から取りまとめた

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.07.20 17:30
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北朝鮮は6月、世界保健機関(WHO)に新型コロナウイルス感染者は発生していないと報告した(疑わしいが少なくとも大量感染拡大は避けたようだ)。しかしデルタ株は北朝鮮の状況をまもなく変えてしまうかもしれない。三重防衛線の中で最初と3番目の防衛線が弱まっているためだ。

最初の防衛線は中国・ロシアと国境を接する緩衝地帯だ。ここで新型コロナウイルスが広がらないことが重要だ。2番目の防衛線は住民らほとんどすべての移動を禁止する全面防衛だ。最後の防衛線は感染者の徹底した孤立と接触者に対する迅速な追跡で、中国と似ている。現在デルタ株がロシア極東地域まで広がったのはほぼ確実だ。先月ウラジオストクとウスリースクでは変異株の感染拡大に備えるための病院が設立された。隣接した中国領土内での感染拡大は時間の問題だろう。最初の防衛線である緩衝地帯が危うくなったということだ。3番目の防衛線もほとんど意味がなくなる。デルタ株が「追撃戦」より速く移動する方法を会得するからだ。事実以前にも北朝鮮幹部が発生事実を認めることを恐れて感染拡大の事実を報告しなかったかもしれない。

 
こうした中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は6月の会議で「食糧状況の緊張」に言及し、国連食糧農業機関(FAO)は同月14日、北朝鮮で今年86万トンの食糧が不足するものと予想した。これも大きな問題だが、これにより住民らが防疫ルールを破って国境を越え、食糧密売に出て結果的にコロナの感染拡大リスクを高める恐れがある。

デルタ株のため全面防衛の重要性が高まったが、これもまた弱まる公算が大きい。6月18日に朝鮮中央テレビは金委員長が軍用米を放出して住民に配給しろという「特別命令」を出す場面を放映した。北朝鮮の軍人は少なくとも食糧だけは素朴な水準であれ毎日得ることができた。軍用米を放出するという知らせは軍の士気を低下させるだけでなく、不法な国境横断に目をつぶる代価としてわいろを得ようという誘惑を大きくさせかねない。

北朝鮮の政権はそれでも食糧確保の努力をもっとする代わりに政治的打撃を避けることに没頭しているようだ。金委員長が食糧問題解決に努めて特別命令をする放送をしたのに続き金委員長のやつれた姿に涙を流す住民のインタビューも放映した(食べるものがなく金委員長の体重が減ったという発想は滑稽でさえある)。街頭では新たに「反社会主義行動」を集中的に取り締まるが、ここには食糧取引や食糧確保に向け他の地域に移動することまで含まれた。

北朝鮮政権はワクチン普及にも効果的でなかった。7日にロシアのラブロフ外相が北朝鮮にワクチンを提供する準備ができていると発表したが、これは北朝鮮がまだ要請していないことを暗示する。最近の報道によると北朝鮮はワクチンを共同購入・分配する国際的枠組みのCOVAXとの交渉を数カ月にわたり遅延させている。北朝鮮の核交渉のように相手が譲歩するよう望んで強硬路線を固守しているようにみられる。他の数多くの国も相手にしなければならないCOVAXとしては引き下がることはできない。

北朝鮮が最高指導者の評判を取りまとめて住民を抑圧するのは恥ずかしいことではあるが政権の観点では妥当なのかもしれない。彼らに実質的なリスクは飢餓や伝染病ではなく、飢餓や伝染病が引き起こす社会的不安が政権に対する組織的憤怒に変わることだ。短期的には政権の権威維持に向け最善を尽くさなければならない。これはしかし根本的な解決ではない。状況がさらに悪化し、「激しく厳しい時期」(FAO)に陥るかもしれない。そしていつか北朝鮮政権がどんな政治的魔法を使っても、どれだけ厳しい状況なのか指導層がどれだけ完璧に間違ってきたのか、住民たちをこれ以上だますことはできなくなる瞬間がくるだろう。

ジョン・エバラード/元平壌駐在英国大使

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