【中央時評】ワクチン開発の歴史から読み解くべきメッセージ(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.06.21 16:18
文明史は疫病との戦いの歴史だった。最初の疫病であり、最長期間にわたり最大の人命被害を出したのは天然痘だった。16世紀ヨーロッパ大陸の征服者が新大陸に伝播した天然痘は致死率が70~90%に達した。人体の臓器まで膿疱で溶かしてしまう恐ろしい天然痘は、20世紀にも3億~5億人の犠牲者を出した。近代的予防接種(vaccination)も天然痘から始まる。牛乳をしぼる女性が天然痘にかからないといううわさに着眼したエドワード・ジェンナーが、1798年に種痘法を考案し、ラテン語の牛(vacca)がワクチン(vaccine)の語源になった。その後、改良をたどりながら副反応や接種忌避など紆余曲折の末、1980年天然痘は地球上から撲滅された唯一の感染病になった〔世界保健機関(WHO)〕。
世界人口に対して最大の死者を出したパンデミックは14世紀のペストだ。1346年アジアの商船に乗って欧州に進出したネズミの群れのノミがペスト菌をまき散らし、絶頂期(1346~53年)に世界人口5億人のうちユーラシア大陸で2億人が犠牲になった。抗生剤を適時に使えば治癒は可能だか、毎年2000件余りが発生していて再出現感染病に分類されている。ワクチンは1940年米国食品医薬局(FDA)の承認を受けたものがあったが、副作用が激しく最も恐ろしい肺ペストには効能がなく、1999年に生産が中断された。