尹錫悦（ユン・ソクヨル）前検察総長が「報道官辞任」と「Ｘファイル」という２つの突発悪材料にぶつかった。２７日ごろの大統領選挙出馬宣言が有力視される尹氏が本格的に試されるという見方が出ている。

イ・ドンフン前報道官は２０日午前、ＳＮＳで「一身上の理由で辞任する」と伝えた。１４日に公式業務を開始してから６日後だ。

イ・サンロク報道官は「尹前総長は１８日晩、２人の報道官に会い、『今後、国民の前で謙虚にやっていこう』と言って激励した」とし「しかしイ前報道官が１９日午後、健康などの理由でこれ以上報道官職を遂行するのは難しいという意を明らかにし、尹前総長は残念に思いながらこれを受け入れた」と話した。

イ・ドンフン前報道官の辞任は一次的には国民の力入党をめぐる「メッセージ混線」問題のためとみられる。尹氏の早期入党説は尹氏と会ったり電話をした国民の力議員の伝言で広まった。これに対し尹氏は側近の伝言を通じて「早期入党説は憶測」（７日、李チョル雨）、「あらゆる選択が開かれている」（１４日、イ・ドンフン）、「自分の進むべき道を行く」（１７日、イ・ドンフン）と一貫した基調で反論してきた。

しかしイ前報道官は１８日、ＫＢＳ（韓国放送公社）ラジオ番組で「国民の力入党は当然のこととして受け止めてもよいのか」という進行者の質問に「そう考えてもよい」と入党を既成事実化した。すると尹氏は中央日報などとの電話で「いま入党に関する話をするのは国民に対する道理・礼儀でない」とし、報道官の発言を自ら収拾した。

元党報道官のある議員は「結果的に報道官の発言を記事化すれば誤報になる状況が発生した」とし「尹前総長の直接対応が報道官の地位を格下げしたとみられる」と話した。尹氏側の事情をよく知る政界関係者は「イ前報道官をはじめとする『早期入党派』が尹前総長陣営の内部のパワーゲームで劣勢になったとみられる」と伝えた。

検事と元政治部記者の２人の性向が合わないという分析もある。朝鮮日報論説委員だったイ前報道官が尹氏の発言を政治的に「加工」して伝えることに対し、法律家の尹氏が不満を抱いたということだ。イ前報道官は辞任後、あるメディアとの電話で、「尹前総長と合わない部分があったのか」という質問に対し「（そちらで）解釈してほしい」と話した。ある野党関係者は「尹前総長はその間『伝言政治』をしてきたが、徐々に限界にぶつかる感じだ」と評価した。

一方、尹氏の家族に関連する「Ｘファイル」も再点火された。野党側に分類されるチャン・ソンチョル「共感と論争政策センター」所長は１９日、フェイスブックに「先日、尹錫悦前総長と夫人、夫人の母親の疑惑が整理された一部の文書化されたファイルを入手した」とし「尹前総長に大きく期待したが、こうした疑惑を受ける方が国民の選択を受けるのは非常に難しいだろうというのが苦心の末に出した結論」書いた。

すると金在原（キム・ジェウォン）国民の力最高委員はこの日、ＳＮＳに「味方から手榴弾がさく烈した」とし「宋永吉（ソン・ヨンギル）民主党代表の主張には反応も見せなかった尹錫悦も、チャン所長の暴露には答えないわけにはいかなくなった」と書いた。張済元（チャン・ジェウォン）国民の力議員はフェイスブックに「宋永吉代表の発言で始まった政治工作が野党の内部にまで浸透しているとみられる」とし「今は我々の大統領選候補を力を合わせて保護する時」と述べた。