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【コラム】応援します、大坂選手

ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2021.06.13 10:13
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2019年5月、テニスの大坂なおみ選手が出演したナイキのテレビ広告が大きな反響を呼んだ。ボールを打ち返す大坂に向かって英語の質問が多く飛ばされる。「日本人かアメリカ人か、自分をどちらと感じますか?「最大のライバルは誰ですか?」日本語の質問がその後に続く。「日本語で答えてください」「またこの後もカツ丼食べますか?」。立ち止まった大坂が指を唇に当てて「シーッ」と静かにさせる。キャッチフレーズが浮かび上がる。「世界を変える。自分を変えずに」。

差別反対広告なのにむしろ差別議論に包まれた。日本人を見下す西洋人の見方が込められたというものだった。日本国内で不買運動も起きた。だが広告内の質問は大坂が実際に受けたものだ。ハイチ人の父親と日本人の母親の間に生まれた大坂は幼少時を米国で過ごした。国籍選択時点で米国やハイチの代わりに日本を選択した。「日本語で答えてください」「カツ丼を食べますか」などは取材を口実にした彼我区分だった。

 
2018年、テニスのメジャー大会であるUSオープン女子シングルス決勝戦で大坂は米国のセリーナ・ウィリアムズと激突した。大坂がセットスコア1-0でリードする第2セット中に、ウィリアムズは八つ当たりでラケットを投げ付け警告を受けた。大坂が優勝すると観客はお祝いの代わりにブーイングを送った。大坂は「多くの人がウィリアムズを応援したが、このように試合が終わって申し訳ない」と涙声で話した。記者会見では大坂に向けウィリアムズを非難するよう誘導する質問が殺到した。

メジャー大会である全仏オープンも終盤だ。今大会最高の話題の選手はやはり大坂だ。彼女は女子シングルス1回戦で勝った後の記者会見を拒否した。開幕前から会見不参加を予告していた。ソーシャルメディアに「うつ病を克服しようと苦しい時間を耐えた。(中略)話し上手な選手ではないので世界のメディアの前で発言する前に極度の緊張感に包まれる。(中略)会見に参加しないことが良いと判断した」で書き込んだ。うつ病は2018年のUSオープンの時に始まったという。

24歳の大坂は世の中を変えようと相当に神経を使った。米国女子サッカーチームのノースカロライナ・カレッジに巨額を投資した。「私に投資した女性たちが現在の私を作った。それがなかったら私の人生はどこにあったかわからない。若い女性選手らにインスピレーションを与える驚くほどの女性に対する投資」と背景を説明した。昨年のUSオープンの際は試合ごとに人種差別被害者の名前が書かれたマスクを着用した。「スポーツに政治を持ち込むな」という非難に「そのような非難のためにも勝ちたい」と言い返した。女性を差別する政治家を批判し、新型コロナウイルスの中での五輪強行に反対の声を出した。ついにスポーツ選手の精神健康問題を公論の場に引き出した。

2008年北京五輪の時の事件が思い出された。8月12日の男子体操団体戦で韓国は5位にとどまった。2004年アテネ五輪個人総合銀メダルのヤン・テヨンと銅メダルのキム・デウンがいる韓国はメダル候補だった。試合後に選手団はインタビューを断った。彼らを待った取材陣は手ぶらで帰るところだった。「運動がうまくできないなら話だけでもうまくやらなきゃ」。毒舌が刀のように選手団らに刺さった。体操代表チームのイ・ジュヒョン監督が振り向いた。「だれだ。いまそんなことを言ったのは」「私だ。どれだけ待たせたのか。外国ではそんな風にしない」。周囲が引き止めて胸ぐらをつかみ合うようなことにはならなかった。

大坂は今回の全仏オープン直前にこのように話した。「敗北したばかりの選手が質問に答えることを期待するのは、倒れた人を足で蹴るようなものだ」と。13年前、倒れたばかりの体操代表チームに足蹴りをしたのは、恥ずかしながら私だった。遅ればせながら反省し謝罪したい。イ前監督と選手のみなさん、ごめんなさい。気付かせてくれてありがとうございます、大坂選手。あなたを応援します。

チャン・ヘス/中央日報スポーツチーム長

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