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お金も名誉もあるのに…スーパースターはなぜ憂鬱なのか

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.06.11 13:48
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「次世代テニス女帝」大坂なおみ(24)は世界で最も有名な女性スポーツスターだ。最近4年間のメジャー大会優勝だけで4回だ。アジア国籍の選手で初めて女子シングルス世界1位になった。現在は2位だ。収入も並外れている。最近1年間で6000万ドル(約66億円)を稼ぎ、女性スポーツスターの収入1位だ。まさに「young and rich」だ。

名誉もお金もすべて手にしたその大坂が「うつ病を患っている」と告白した。大坂は「2018年の全米オープン以降、長い間うつに苦しんでおり、その対処に本当に悩まされてきたというのが真実だ」と説明した。最近、大坂は精神の健康のために当分の間コートを離れることを決めた。全盛期である大坂が大会に出場しなければ世界ランキングも収入も急落するしかない。それでも大坂は休むことを選んだ。精神的苦痛が物質的な報奨によってもたらさえる喜びを越えたのだ。

 
ほとんどのスポーツ選手の目標は実力を認められて、たくさん稼いで、羨望の中で生きることだ。ところがごく少数だけが立てる頂上に到達すると、むしろ苦痛に直面する場合がある。「水泳の皇帝」マイケル・フェルプス(36・米国)はオリンピック(五輪)史上最も多くのメダル(28個)を獲得した。そのような彼もアルコール中毒とうつ病の治療を受けた。フェルプスは2018年ある精神健康フォーラムで「選手生活の最高峰に立った2014年に自殺を考えたことがある」と打ち明けた。メジャーリーグ(MLB)にもうつ病を訴える選手がかなりいる。サンフランシスコ・ジャイアンツでプレーした野手のドリュー・ロビンソン(29)はうつ病で昨年自殺を試み、片目を失った。イングランド・プレミアリーグも違うところがない。2017年アーロン・レノン(34・バーンリー)は精神不安症状で治療を受けた。

成功するほどうつ病有病率が高い。プロスポーツ選手の心理相談専門家で、中央(チュンアン)大学精神健康医学科のハン・ドクヒョン教授は「上位なればなるほど激しい競争にさらされ、成果を出さなければならないというプレッシャーに苦しめられる。これに見合う成果を出すことができなければうつ病などに発展する可能性がある」と説明した。

男子テニスのドミニク・ティーム(28・オーストリア・4位)は昨年全米オープで優勝した。ロジャー・フェデラー、ノバク・ジョコビッチ、ラファエル・ナダルを続く新星として注目を浴びた。だが無気力になる「燃え尽き症候群(バーンアウト)」に陥り、今回の全仏オープンの場合、1回戦で敗退した。ティームは「メジャー大会優勝以降、やる気が全く出なかった。勝利への強いモチベーションがなかった」と吐露した。スウェーデン・テニスの「伝説」マッツ・ビランデルは「選手が勝ちたいと思わなければこれはうつ病」と語った。

大坂のようにうつ病を公開したならまだ幸いだ。有名選手であるほどライバルなどに軽く見られまいとして、または強靭なイメージを守ろうとして憂鬱な気持ちや不安なメンタルを隠そうとする。フェルプスは「うつ病を公開して、五輪で金メダルを獲得した時よりも大きい力を得た。問題を隠そうとするべきではない」と助言した。

スポーツ選手のメンタル管理のトレンドも変わっている。過去は「スポーツ心理相談」といえば競技を控えて不安を落ち着かせる方法、競技力向上のための心がけなどをコーチングするのがほとんどだった。最近では精神健康を根本的に回復させることに焦点を合わせている。ハン・ドクヒョン教授は「国際オリンピック委員会(IOC)もスポーツ選手のうつ病問題を重く受け止めている。単なる不安症が深刻なうつ病に変わる瞬間は選手自身が直観的に分かっている。不眠になり、食欲はなくなり、競技力が落ちる。そうなったら躊躇(ちゅうちょ)せずに専門医療機関に訪れなくてはならない」と強調した。

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