【コラム】一度も経験したことがないワクチンの副作用=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.06.11 11:27
オーストリア・ウィーンの総合病院で勤務していたハンガリー出身の産婦人科医師フィリップ・ゼンメルワイスは1847年、医師らに手術の前には手を洗おうと提案し、病院から追い出された。当時、妊婦5人のうち1人の割合で産褥熱に感染して息を引き取った。ゼンメルワイスは綿密な観察と研究の末、産褥熱が遺体室と分娩室を行き来した医師らによって感染するという事実を知った。しかしこれに基づいて提案した「手洗い予防法」は徹底的に無視された。当時の医療界では、感染病は水や直接接触でなく悪い空気を通じて伝播するという瘴気説(miasma theory)を強く信じていたからだ。しかもゼンメルワイスの解決策に応じれば、産褥熱は医療関係者の過失と認めることになった。怒った同僚によって病院から追放されたゼンメルワイスは精神病院で寂しい余生を終えることになった(スティーブン・ジョンソン『私たちはどうやってここまできたのか』)。
医学は新しい類型の感染病に向き合うたびに苦戦した。時には迷信に近いことを治療法として堂々と行った。コロンブスが南米大陸を発見した後、欧州に梅毒が入って急速に広がると、当時の医療関係者は水銀を治療剤として使用したりもした。初めて接する病原体に対処しながら当代の医療知識レベルを盲信して他の可能性を遮断し、災難的な結果を招いたりした。