【コラム】権力者のとぼけ=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.05.03 14:11
大統領侮辱罪で騒がしい。2年前に文在寅(ムン・ジェイン)大統領を非難する内容の印刷物をばらまいた30代男性のキム氏が侮辱罪容疑で最近、送検されたからだ。侮辱罪は刑法上親告罪であるため、被害者(大統領)の告訴意思がなければいけない。「大統領を侮辱する程度は表現の範疇として許容してもよい。大統領を罵って気分が晴れればそれでよい」と述べた文大統領の以前の発言が改めて取り上げられながら、波紋は広がっている。
キム氏がまいた印刷物には「北朝鮮の犬、韓国大統領文在寅の真っ赤な正体」という言葉があった。「北朝鮮の犬」という表現は十分に不快なものかもしれない。(北朝鮮はこれ以上のひどい言葉を文大統領に浴びせたが、侮辱罪は主観的だ)。青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)の関係者は先月29日、「ビラの内容が極悪であり、当時は黙過できないレベルという雰囲気が強かった」と話した。文大統領も大統領である前に人間であり市民だ。それで本人が「人間として尊厳を侵害された」と考え、侮辱罪で告訴することは考えられる。それなら堂々としなければいけない。告訴した事実を明らかにし、なぜそのようにしたのかを話せばよい。それが透明な社会であり、民主的リーダーシップだ。是非はあるだろうが、論争を通じて合意を導き出すのが民主主義ではないのか。しかし文大統領はそれを隠した。事件当事者のキム氏が何度か警察の取り調べを受けながら尋ねても、警察は「誰が告訴したのかは公開できない」と述べた。波紋が広がると、青瓦台が一歩遅れて告訴の事実を認めた。