現代自動車が車載用半導体を調達できず結局１週間工場を止めることにした。フォルクスワーゲン、トヨタ、ルノー日産、ＧＭなど世界の自動車メーカーの一部工場の稼動中断を呼び起こした半導体不足が現代自動車まで襲ったのだ。今回の事態を契機に韓国が車載用半導体分野で能力を育てなければならないという指摘が出る。

現代自動車は３０日、労働組合との協議の末に蔚山（ウルサン）第１工場を来月７日から１４日まで稼動中断することを決めた。蔚山第１工場で量産する小型スポーツ多目的車（ＳＵＶ）の「コナ」と電気自動車の「アイオニック５」を減産する。現代自動車関係者は「コナは前方カメラ半導体の需給支障で、アイオニック５はパワートレインモジュールが適時に供給されず休業を決めた」と明らかにした。現代自動車内外では今回の休業措置によりコナで６０００台ほどの生産損失が避けられないとみている。

現代自動車だけでなく起亜も４月に華城（ファソン）工場の労働者の特別勤務を取りやめる方式で生産量を減らす。起亜のＳＵＶモデルである「ソレント」と「ニロ」、新型セダン「Ｋ８」の生産縮小も避けられない状況だ。

世界の自動車業界は昨年末から車載用半導体不足に陥っている。自動車メーカーが新型コロナウイルスにともなう販売減少を予想して注文量を大きく減らしたが、昨年末からコロナワクチン開発と世界的な景気浮揚への期待感から新車注文量が予想より早く増えたことが直接的な原因だ。ここに車載用半導体市場で世界１～２位のインフィニオンとＮＸＰが年初から米国南部の停電で工場稼動を中断し半導体不足がさらに深刻化した。先月には世界３位である日本のルネサスの工場でも火災が発生し半導体の品薄現象は全世界に拡散した。

これによりＧＭが車両生産を一部中断したのに続き、車両の設計まで一時的に変更した。韓国ＧＭも富平（プピョン）第２工場を来月も５０％だけ稼動する。フォルクスワーゲンはエムデン工場をはじめ、ウォルフスブルグ工場などで減産している。トヨタやホンダ、日産、アウディなどもそれぞれ工場の稼働中断を経験した。電気自動車業界もパニックだ。中国の電気自動車会社ニーオは工場のラインを数日にわたり止めて減産しており、米テスラもやはりカリフォルニア工場で「モデル３」の生産を一時中断した。

さらに大きな問題は半導体需給問題がいつ解決されるのか見通せないところにある。ソウル大学電気・情報工学部のイ・ジョンホ教授は「半導体不足が下半期まで続く恐れがあるがこれといった対策が容易ではない状況」と指摘した。

韓国貿易協会国際貿易通商研究院と市場調査会社のＩＨＳマーケットによると、昨年の世界の車載用半導体市場規模は３８０億ドルと推定される。新型コロナウイルスにより当初見通しの４７０億ドルから大幅に減った数値だ。２０２４年には６００億ドルに成長する見通しだ。

だが世界の車載用半導体市場で韓国のシェアは２０１９年基準２．３％にすぎない。世界１位である米国の３１．４％や日本の２２．４％、ドイツの１７．４％と格差が大きい。また、韓国は車載用半導体の９５％を輸入している。国際貿易通商研究院のイ・ジュンミョン首席研究員は「韓国の車載用半導体の海外依存度が高いのは車載用半導体の市場参入障壁が高く規模の経済を達成しにくい上に、他の産業用半導体よりマージン率も低いため。車載用半導体は旧型工程を主に活用するので（先端工程を扱う韓国の半導体企業が）短期間で増産するのが難しい構造的限界がある」と説明した。

専門家らは今回の車載用半導体不足事態が長期化し繰り返される恐れがあると懸念する。さらに自動車を「タイヤが付いたＩＴ機器」と呼ぶほど車の電装化・自動化は大勢になった。２０４０年までに世界で発売される新車のうち約４０％を占めるとみられる電気自動車にも半導体は核心部品だ。韓国が車載用半導体産業の能力強化に出なければならない理由だ。イ・ジュンミョン研究員は「韓国が強い分野を中心に車載用半導体産業の基礎競争力を育てなければならない。内外の技術協力を拡大し産業間の境界が崩れている技術環境の変化に戦略的に対応しなければならない」と助言した。