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【コラム】国家生存を脅かす3つの幻想=韓国(1)

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.03.17 11:14
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歴史学者E.H.カーは名著『危機の二十年』で民族主義の勃興と理想主義の蔓延が世界を危機に追い込んだと分析した。われわれも理想主義に埋没していると国家的危機に直面しかねない。バラ色の幻想から抜け出さなければならない。

文在寅(ムン・ジェイン)政府は何よりも北朝鮮が望むことをすれば平和がやってくると認識している。現政権が推進する韓半島(朝鮮半島)平和体制構築の大義そのものを否定する者は少ない。だが、これを実現しようとする方法論は北朝鮮の望みを聞き入れてこそ平和がやってくるという根拠のない理想主義に傾いている。

 
◆制裁緩和は北朝鮮だけに得をもたらす

第一に、北朝鮮が望む制裁緩和や南北協力事業を行えば、南北平和はやってくるのだろうか。北朝鮮は制裁と表裏一体となっている非核化およびミサイル開発中止に関心がないようにみえる。非核化のない制裁緩和は縁木求魚だ。制裁を緩和すれば非核化を阻止する手段が減る。制裁迂回を通した南北協力事業の展開は、金正恩(キム・ジョンウン)が望む核・経済並進路線の達成をわれわれが支援する格好になる。「強い北朝鮮」を作ることが韓国に利益になると主張する人はそんなに多くないだろう。

第二に、韓米合同訓練の縮小や延期は北朝鮮が望む結果をいとも簡単にもたらすことになる。有事の際の準備態勢が整っていない軍隊は韓国を防御する盾にはなれず、これは北朝鮮だけに得になる。北朝鮮が繰り返し核・ミサイルなど非対称戦力を強化するなら、シンガポール合意にこだわらずに韓米合同訓練を再開するべきだ。

第三に、終戦宣言や平和協定締結も北朝鮮に有利な措置だ。停戦体制の変更は国連司令部を、平和協定締結は連合司令部と在韓米軍の地位を無力化することにつながる。北朝鮮との平和を拒否する理由はないが、韓国防衛のための同盟だけを弱めるのは問題だ。北朝鮮の対称的軍事信頼の構築措置や中朝同盟の根本的な変化がない限り、われわれが急いで乗り出すことではない。

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