【コラム】政派的な裁判所・検察人事で危機を迎えた「大韓民国共和国」(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2021.03.15 15:45
文在寅(ムン・ジェイン)大統領は機会があるたびに統合と共存を話した。分裂と葛藤の政治を変えると言った。「私を支持しなかった国民一人一人も私たちの国民として仕える」「野党は国政運営のパートナーだ。対話を定例化して常に会う」(2017年5月10日の就任演説)、「自らを保守と考えようと進歩と考えようと極端に偏らず、常識のラインで愛国を考えれば、我々は統合された社会に発展していくことができる」(2019年6月6日の顕忠日演説)、「お互いに対する理解、違いに対する寛容、多様さの中の協力がいつよりも切実に求められる時代になった」(2019年10月22日の国会施政演説)などの言葉は大きな期待と歓迎を受けた。こうした発言に一貫している哲学は統合と均衡、寛容の共和主義精神だ。
しかし政府の実際の政策は反対に進むケースが多かった。「選択的人事」はその一つだ。昨年の秋美愛(チュ・ミエ)前法務長官と尹錫悦(ユン・ソクヨル)前検察総長の「秋・尹」葛藤は結局、検事を列に並ばせるものだった。政府の政策に反旗を翻した検事は左遷させ、その空席を近い検事で埋めた。シン・ヒョンス民情首席秘書官の辞任は青瓦台の反共和的人事方針に対する抵抗だ。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で文大統領と息を合わせた民情首席秘書官が辞意を表明して対抗するのは、政府の人事原則がかなり逸脱していたことを見せる証拠だ。