中東のアラブ首長国連邦（ＵＡＥ）は、新型コロナウイルス感染症（新型肺炎）ワクチン接種率がイスラエルに次いで世界第２位だ。この国は、人口比世界最多の検査件数を誇る。ワクチンの効果が出る日は遠くない。１１日、国際統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、ＵＡＥは人口１００人当たりの接種者が６３．９５人で、イスラエル（１０３．７人）に次いで世界第２位だ。全体接種者は約１０００万人の人口のうち、６３３万人で世界１１位（米国１位、中国２位）だ。

◆ソウル大学病院クォン・ヨンジン中東支社長インタビュー

ＵＡＥはアブダビ、ドバイ、ラアス・アル＝ハイマなど７つの首長国からなる連邦制国家だ。ラアス・アル＝ハイマにソウル大学病院が進出している。シェイク・カリファ専門病院（ＳＫＳＨ）で、王立病院だ。２０１４年８月からソウル大学病院が委託運営している。ソウル大学病院中東支社長のクォン・ヨンジン医師にＵＡＥの現状を尋ねた。

――どんなワクチンを接種しているのか。

ほとんどが中国製薬会社シノファーム（中国医薬集団）のワクチンだ。一般人はシノファームを打つ。高リスク群はファイザー製ワクチンを打つ。アストラゼネカ製ワクチン、ロシアのスプートニクＶワクチンも入ってきたが、まだ詳細案が出ていない。

――ワクチンの効果が出ているか。

１月からワクチン接種が増え始めた。２次接種後１カ月が経過しないとワクチンの効果が現れない。今月末が過ぎて感染者発生と死者発生状況を見てから効果があるか判断できるだろう。

――どんな人に接種するのか。

人口１０００万人のうち、自国民は１０％に過ぎない。残りは外国人移住労働者などだ。自国民、外国人を問わず、無料で接種する。

――シノファームは国際検証を受けていないが。

うちの病院に韓国人が１８０人勤務している。最初は接種を敬遠したが、１００人ほど打った。接種が進み、死者が出ていないと聞いた。今は皆積極的だ。周辺での副作用が出たという話は聞いたことがない。

――ＵＡＥ保健・防疫省は昨年１２月にシノファームの新型コロナワクチンが第３相臨床試験の結果、８６％の効能を見せたと発表している。昨年９月、シノファーム製ワクチンについて限定的な緊急使用を世界で初めて承認した。

――ＵＡＥの防疫戦略は。

早期発見、早期治療、早期接種だ。人口比検査件数が世界１位だ。全体検査件数が３２００万件に及ぶ。一日の新規感染者が１～２月は３０００人台で、今は２０００人台に減った。ラアス・アル＝ハイマをはじめとする一部の連合国の公共機関に入るには新型コロナ検査確認やワクチン接種確認を受けなければならない。スマートフォンアプリに検査陰性やワクチン接種の有無が表示され、それを提示しなければならない。

――ワクチンはどのように対応してきたのか。

この国の指導者が、早くから集団免疫の重要性を認識した。ファイザー・モデルナのような先進国のワクチンではないが、中国のワクチンをいち早く確保した。外国人が９０％だが、外国人にもワクチンを打つために早く動いた。国家指導者の慧眼が際立つ。

――こんなに迅速に動く理由があるのか。

ドバイ・エキスポがことし１０月に開幕する。元々、昨年に予定されていたが、新型コロナのため１年延期された。

――新型コロナ変異ウイルスが多く出るか。

ことし１、２月に大きく増えた。政府が英国発変異ウイルスの出現を公開した。ここに住んでいる韓国人感染者の相談を受けるが、昨年は夫がかかっても妻と子に移るケースはほとんどなかった。ことしは家族の１人がかかると、ほぼ家族全員に移る。以前より症状も比較的重い。肺炎になる割合が上がったようだ。過去２カ月間、５０人の相談を受けたところ、４人が酸素治療を受けた。３０～４０代の若年層の患者が多い。回復に時間がかかる。

――韓国に助言するならば。

ワクチンには２つの問題がある。全国民の７０％に接種することが１つ目だ。第２に、安全性だ。短期間で開発されたため、どのワクチンも完全に安全だとは言えない。一部副作用がある可能性がある。危機を回避するには、皆で一度に接種しなければならない。ワクチンを打っていない国で新型コロナの変異ウイルスが出続けるだろう。これがワクチンを無力化すれば、世界で新型コロナが非常に長く続くだろう。すべての国が集団免疫を確保できるように努力しなければならない。先進国ならば、発展途上国をどのように支援するか検討しなければならない。韓国は世界経済１０位の国らしく、そのような検討をしなければならない。世界を救うために力を集めなければならない。