韓国法務部検事懲戒委員会で、尹錫ヨル（ユン・ソクヨル）検察総長が停職２カ月の処分を受けた。尹総長は今年１月の秋美愛（チュ・ミエ）法務部長官就任以降、人事権を失った事実上「植物総長」だったが、月城（ウォルソン）原発捜査など政府の核心に対する捜査は引き続き指揮してきた。だが、この処分を大統領が裁可する場合、処分は確定して尹総長は２カ月間の指揮権まで喪失することになる。

１６日、法務部によると、前日午前１０時３０分からこの日午前４時まで１７時間３０分程開かれた懲戒委で、停職２カ月案が可決された。懲戒委員４人は特別弁護人が退場した後の前日午後９時からこの日午前４時まで７時間近いマラソン会議を行った。懲戒委員は解任から停職６カ月と４カ月などさまざまな意見を出した。

鄭漢中（チョン・ハンジョン）懲戒委員長職務代理（韓国外大法学専門大学院長）は「（認められた容疑は）裁判官査察とチャネルＡ捜査妨害、政治的中立に対する疑いによる品位損傷などがあった」と明らかにした。懲戒委員の一人である李容九（イ・ヨング）法務部次官もこの日会議後、硬い表情で「委員会が本当にさまざまな側面、さまざまな角度から多くのことを考えて結論を出した」と話した。

懲戒は秋長官の推薦で文在寅（ムン・ジェイン）大統領が最終決定する予定だ。大統領が裁可すれば尹総長の指揮権はなくなる。秋長官が先月２４日に懲戒請求命令を下した時には解任議決の可能性が最も大きく予想されていたが、最近の世論を意識して懲戒委が事実上の解任効果を出す停職処分を下したという分析もある。

懲戒委員と尹総長側の特別弁護人はこの日証人尋問を終わらせた午後７時３０分ごろ、審議期日続行をめぐり衝突した。尹総長側は証人尋問の後、懲戒委に新しい証拠の閲覧と沈載哲（シム・ジェチョル）法務部検察局長が提出した意見書に対する反論意見書の準備のために審議期日を続行してほしいと要請した。

だが、懲戒委側はこの日に審議を終結するとして尹総長側に１時間内に最終陳述をするよう要求した。これに対し、尹総長側は「このような要求は無理で、現実的に不可能」としながら異議を提起した。懲戒委が審議をこの日終結するというと、「最終意見陳述をしない」と反発して会議場を出た。その後、懲戒委は９時に再び続行され、議論の末に停職２カ月を議決した。

法曹界では、懲戒委がすでに結論を予定して審議を強行しながら「公正」と「正当」という外観だけを整えようとしたという指摘が提起されている。一部は、懲戒委が突然手続き終結を強行した背景に疑い混じりの視線も送っている。懲戒委はこの日、尹総長側が公正性に対する懸念を理由に提起した委員長職務代理人の鄭漢中職務代行と申成植（シン・ソンシク）大検察庁反腐敗強力部長に対する忌避申請（審査に参加している機関や委員会などが公正でないことを理由に、その構成員を入れ替えるよう要求すること）を受け入れなかった。また、懲戒委を予備委員として計７人になるようにしてほしいという尹総長側の要請も受け入れなかった。

続行期日を１７日や１８日にしようと言って日程を調整している中で、懲戒委員内で会議を開いて突然日程を通知したことから、「見えない手」が作用したのではないかという推測も出てきた。政界ではこの日内に懲戒委の結論が出るといううわさが広がった。尹総長側はこの日、「汚名を雪ごうと大きく努力をしたが、努力とは関係なく、法務部ではすでに（結果を）決めていたような気がする」と懲戒委を批判した。この日の会議では、懲戒委側が尹総長側弁護人の携帯電話を提出させようとしたが、激しい抗議を受ける状況も発生した。

韓国で過去初めての検察総長懲戒…尹錫ヨル氏の「停職２カ月」は文大統領の手の中に（２）