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【時視各角】笑えるけど悲しいトランプ、さらに笑えるけど悲しい韓国経済副首相

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.10.20 12:03
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10月のサプライズはなかった。当初から可能性のなかった米朝サプライズショーをいうのではない。私がもしやと思って注視したのはコロナワクチン開発完了宣言というサプライズだった。トランプは11月3日の大統領選挙前にワクチン開発を終わらせなければならないと何回も促した。バイデンとの格差を一挙に減らすことができる唯一のカードとみたものだ。だが米国の鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長に当たるアンソニー・ファウチ国立感染症研究所長は来年4月にもできるかどうかという話だと線を引いてしまった。

トランプ陽性騒動はサプライズショーというよりブラックコメディに近かった。1日に感染者が7万人ずつ発生し、マスクを使うことをあざ笑っていた大統領もよけられなかった防疫失敗、その一方で防疫と政治を混ぜて票計算へとつなげる米国の権力の素顔を赤裸々に見せていたリアリティーショーでもあった。感染確認から3日でベッドを飛び出したトランプは予想通り「中国ウイルスをはね除けたスーパーマン」とイメージ作りをしている。自分の過ちは見ずにスケープゴートを作って責め立てるのは見慣れた手法だ。大統領選挙目前のトランプにはそれが中国だ。ボブ・ウッドワードの著書『怒り』によると、トランプが「中国ウイルス」という名前の使用を控えていた時期が一度あった。今春に娘婿のジャレッド・クシュナー補佐官の人脈を通じて中国にマスク支援を要請した時だった。時間が過ぎるとすぐにトランプの口から中国ウイルスという言葉がよみがえった。防疫以外の論理が絶えず防疫に介入した事例を『怒り』は記録している。それでもトランプは「私でなかったなら米国ははるかに多くの死亡者で廃墟になっただろう」という言葉を頻繁に使いながら暮らす。「私でなければ…」こそどこかでたくさん見た我執であり確証偏向であり厚顔なナルシシズムではないのか。こうした論理が有権者に受け入れられるかは近く判明するだろうが、明らかなのは米国にもトランプが何をしようが推す熱烈な支持層が少なくないという事実だ。

 
ブラックコメディのまた別のバージョンがいま大韓民国で起きている。主人公の格はやや落ちるが、観客を笑わせて泣かせる悲喜劇的要素は絶対引けを取らない。このコメディの題名は「伝貰難民洪楠基(ホン・ナムギ)だ。私たちだれもが主人公になるかもしれない自画像なので笑わせるが笑いは出てこない。文字通り「笑えるけど悲しい」現実だ。

洪楠基経済副首相は賃借人であり賃貸人だ。両方の立場にいる彼がどうすることもできない伝貰難民になったという事実自体が政策失敗を雄弁に物語る。これよりも確実な失敗の証拠がまたどこにあるだろうか。賃貸人も賃借人もともに保護できない法律を「保護法」気取りで国会討論さえ押し切った結果だ。そうしてまた補完策を用意しているという。方向は正しく一時的混乱にすぎないという弁解も忘れない。あまりに聞きすぎてこれ以上耳にたこができる場所すらない状況だ。

元はといえば大統領秘書室長が官僚らに家1軒だけ残してすべて売れと指示したこと自体がコメディの始まりだった。官僚らが投機をしてはならないが、前後の事情も区別せず一律に家を売れとか売るなとか言いながら違反すれば逆賊扱いをすればいくら魂のない公務員といえ潜在的投機屋の疑いをかけられるだけでもくやしいのに財産権と私的自治の原則侵害まで黙って受け入れる状況が21世紀の自由国家で堂々と起きている。それが不動産価格を抑えるのに何の効果があるのか。高位公務員が率先垂範したのでこんどは国民のみなさんが家を売る番だとして税金爆弾を抱かせた結果が善意の1住宅者らにも被害を与え、連鎖的に市場の歪曲と混乱をもたらしていないか。

2つのコメディはそれぞれ違うように見えるが本質は同じだ。自分だけ正しいという為政者の独善と自分たちだけ得をすれば良いという策略、失敗を認めない傲慢が呼び起こした結果という点からだ。笑えるけど悲しい現実に国民は嘲笑を投げて怒る。「あなたも同じ目に遭ってやっとわかっただろう」と。

イェ・ヨンジュン/論説委員

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