だれの干渉や圧力も受けてはならない監査院がこれほど揺れたことはなかった。監査院は１９６３年に監査院法を制定する際に「大統領に所属するが職務に関しては独立的地位を持つ」と法的地位が規定された。大統領ですらいかなる干渉と圧力も加えるなという趣旨だった。そのため監査院の公務員の任免、組織と予算編成も独立性が最大限尊重されるようにした。

しかし文在寅（ムン・ジェイン）政権の脱原発政策の象徴である月城（ウォルソン）原発１号機の早期閉鎖に対する妥当性監査は政界の干渉と圧力、調査対象政府機関の調査妨害が深刻だった。崔在亨（チェ・ジェヒョン）監査院長は最近の国会国政監査で、月城１号機の監査結果発表が遅れたことと関連し「監査抵抗がこれほど激しい監査は在任して初めて」と吐露した。その上で「早ければ月曜日（１９日）、遅くとも火曜日までには結果公開が可能だとみている」と明らかにした。これ以上振り回されないという意志の表れだ。

月城１号機は１次運営許可期間が終わってから実に７０００億ウォンをかけて復活させた国民の大切な資産だ。早期閉鎖し屑鉄にする決定は慎重であるべきだった。しかしその過程は荒く不透明だった。国会が要請して昨年１０月に監査院が監査に出た背景だ。当初監査結果は法定期間である２月末までに発表されなくてはならなかった。しかし執拗な抵抗に遭い８カ月遅れた。

抵抗は全方位的だった。政府傘下執行機関で核心監査対象である韓国水力原子力は最初から資料をまともに出さなかった。当初韓国水力原子力は早期閉鎖を議論する理事会参加者に５０ページに達する経済性分析報告書の代わりにわずか２ページの要約本だけ提供した。そのため監査院は韓国水力原子力のコンピュータから消されたファイルを復活させるデジタルフォレンシックまでしなければならなかった。韓国水力原子力に実質的に業務を指示する産業通商資源部の公務員は関係資料を削除したという。監査院が資料復旧に相当な時間をかけなければならなくなり、公務員が陳述を翻意したりしたことが明らかになった。

政界の圧迫も度を超えた。与党「共に民主党」は最初から監査の信頼性を問題にしている。「監査院が結論を決めて監査するのではないか」という形だった。７月にも監査結果発表を控えチェ監査院長に「大統領選挙が不服か」「政治的に偏向した」として公然と辞任圧力をかけた。

監査院はどんな外圧にも揺れずに今回は必ず約束した期間までに監査結果を発表しなければならない。国民の資産である月城１号機の早期閉鎖が妥当だったのかそうでないのかだけ明らかにすれば良い。今回の監査結果は韓国政府の脱原発政策に大きな影響を及ぼすとみられて相当な後遺症が予想される。なおさら事実そのまま１点の疑惑もなく是々非々を分けなければならない。それでこそ脱原発をめぐる消耗的議論を最小化し高度な独立性が要求される監査院の地位も守ることができる。