【社説】北朝鮮の公開で明らかになった脱北民の越北、韓国当局は何をしていたのか
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2020.07.27 13:50
26日に報道された北朝鮮側の主張どおり、新型コロナウイルス(新型肺炎)への感染が疑われる20代脱北民の越北が事実なら、これは深刻だといってそのまま済まされるようなことではない。何より堅く守られるべき軍事境界線(MDL)がそのようにあっさりと突破されたことにただ唖然とするばかりだ。南北は休戦協定により軍事分界線を中心に幅2キロメートルの非武装地帯(DMZ)を両側に設定している。韓国はDMZ南側の境界線に沿って二重、三重の鉄条網をはりめぐらし、奇襲・潜入および越北を防ぐために24時間態勢で警戒している。このように絶対に突破されてはいけないこの場所を、民間人身分の脱北民が身一つで通過したとすれば、軍当局に責任を問わざるをえない。
軍事分界線が突破されたのは今回だけではない。2012年10月には江原道高城(カンウォンド・コソン)で飢えた北朝鮮兵士がどのような制止もなく南側の哨所まで降りてきて扉を叩いて亡命意思を明らかにしたというあきれる事件が起きた。この「ノック亡命」事件後も2015年に北朝鮮兵士が夜中に南側に越えてきて南側の哨所で外が明るくなるときまで待った「待機亡命」など、類似の事件が相次ぎ、そのたびに軍当局は再発防止を繰り返し念を押した。それでも民間人が軍事境界線を越えて北朝鮮に戻り、1週間が過ぎてようやく北朝鮮が先に越北事実を公開した後、韓国当局がこれを確認するのに右往左往するという奇想天外な事件が起きた。