実験室流出に関連しては「相当な量の証拠がある」というポンペオ長官に対して中国官営英字紙「Ｇｌｏｂａｌ　Ｔｉｍｅｓ（グローバルタイムズ）」は４日、「そのうち一つでも証拠を提示してみよ」と皮肉った。華春瑩氏は６日、「証拠がない」としながら「米国こそ韓国戦争（朝鮮戦争）の時に細菌兵器を使った国ではないのか」と反論した。中国の故意隠蔽についても荒唐無稽だと主張している。昨年１２月３１日、世界保健機関（ＷＨＯ）と米国にコロナ情報を伝え、１月４日には全世界に知らせたという。これに対し、トランプ大統領が１月２５日に中国のコロナ統制努力に賛辞さえを送っているではないかと中国は反問している。

世界が準備する時間を設けなかったというのはあきれた説だと中国は主張している。中国はもちろん、韓国やイランなどが困難を経験している時に米国は何をしていたのかと反問している。何の準備もせずに２カ月をそのまま過ごした後、今になって大騒ぎしているというのだ。

結局、コロナ防疫に失敗した責任を中国に転嫁しているというのだ。今年１１月に近づいた米大統領選挙を控え、トランプ政府の誤りを中国の責任として処理しようと必死だと批判している。

環球時報は６日の社説で「米ホワイトハウスは中国と対立すればするほどホワイトハウスに対する有権者の責任追及が弱くなると信じている」と指摘しながら「米国が中国を謀略して大統領選挙に利用するのは卵を積み重ねることと同じように危険だ」と批判した。

コロナ責任論に対抗する中国の２番目戦略は友軍の確保だ。中国の味方をする友をもっとたくさん確保しなければならないという判断からだ。中国メディアは７日、サウジアラビアとクウェートでの防疫活動をサポートして帰国した医療スタッフ８人の帰還を集中的に宣伝した。

中国メディアには連日、世界各国の防疫を支援する中国医療スタッフの活躍が紹介されている。その一方、習近平主席は３月と４月の２カ月間、世界各国首脳と電話会談を行うコロナ協力「電話外交」を繰り広げた。

このような努力は現在までは半分の成功を収めている。西側各国が中国の思惑通り味方になっているわけではないが、少なくとも中国を非難することは自制しているためだ。しかしこれは恒久的な戦略にはなりえない。

中国はコロナとの戦いや米国との葛藤はどちらも長期戦になるだろうと考えている。貿易戦争と共にいわゆる米中の新冷戦の序幕だと判断している。コロナは簡単にはなくならず、繰り返し再発するものであり、米国とは長期間にわたる覇権競争に、事実上突入した状態だとみているためだ。

そのため中国は２つのことに力を注いでいる。一つはワクチンの開発だ。米国より前にワクチンを開発し、コロナとの戦いで主導権を握るということだ。もう一つは内需振興を通した経済回復だ。中国経済が復活すれば世界は中国の顔色を伺うほかなくなるとの判断からだ。中国は一世代にわたる長期戦を準備している。

「トランプ、再選狙って謀略」中国は静かにコロナワクチン速度戦（１）