未来に起こることを予測するのは常に難しい。３日後の台風の進路、今年の経済成長率、６０歳の韓国人の平均余命、来月の総選挙の結果などの予測は的中する場合より外れることの方が多い。予測の精度は、設定したモデル（Ｍｏｄｅｌ）の妥当性と収集された資料の適切性に依存する。英国出身の「統計学の巨匠」ジョージ・ボックス教授（１９１９～２０１３）が有名な言葉を残している。「すべてのモデルは間違っているが、役立つものもある（Ａｌｌ　ｍｏｄｅｌｓ　ａｒｅ　ｗｒｏｎｇ　ｂｕｔ　ｓｏｍｅ　ａｒｅ　ｕｓｅｆｕｌ）」。今でも科学者たちの間で広く知られている。

新型コロナウイルス事態が終息し、日常に戻れる日はいつだろうか。もどかしく苦しい日常に疲弊した５１００万人の国民すべての切なる関心事だ。筆者は生物統計学（Ｂｉｏｓｔａｔｉｓｔｉｃｓ）の中でも医療情報学を専攻した。厳しい状況だが、それでも一筋の希望を探してみようという心情から新型コロナの拡散推移を慎重に予測してみた。外れれば非難される覚悟を持って勇気を出した。

伝染病拡散に関するモデルは、一般的にロジスティック（Ｌｏｇｉｓｔｉｃ）関数を多用する。ロジスティック関数はＳ字の両端を軽く引っ張ったような形の単純増加関数だが、エスカレーターの上りの形態と似ている。筆者が使用したモデルは追加感染者数がピークに達したと個人的に暫定判断した中国と韓国に適用してみた。

新型コロナが最も早く始まった中国の場合、１月２０日を前後して新規感染者数が急激に増加し、２月１０日頃にピークに達した。その後減少し続けたが、累積感染者はすでに８万人を超えた。中国は３月中旬頃に累積感染者数は約９万人前後まで増加して留まるものと予測される。

中国に比べ初めての陽性判定が約１カ月後に出た韓国の場合、２月１９日から急激に増加し、３月初めにピークに達したと判断される。もちろんこれは、今後全く予想し得なかった突発変数により新規感染者数が急増する状況はないという仮定に基づくものだ。

筆者の予測が正しければ、韓国は３月２３日頃に一日の陽性判定が１０人以下に減少し、累積感染者は８０００人前後になるだろう。確率９５％と推定した。誤差はあり得るが、その頃には事実上制御できるという意味だ。致死率を考慮すると死者は１００人前後出るかもしれない。２００９年に発生した新型インフルエンザの累積死者数は２６３人だった。

これらの予測は韓国国民の個人衛生の注意事項の実践、政府の防疫システム、医療関係者の献身的な努力などが今と同水準で維持されるという前提条件が必要だ。それだけ変数が多く、さらに突発変数が割り込めば実際とは大きく異なる可能性がある。

私たちは新型コロナ事態以前の平凡な日常に戻る時期、すなわち、新型コロナ克服宣言時期は疫学の専門家の意見をもとに疾病管理本部を含む政府が最終判断することだ。政治的判断ではなく、専門家集団の綿密な検証を必ず受けなければならないということだ。

筆者の予測通り３月２３日頃に新規感染者が実質的に制御されても、通常２週間と推定される潜伏期間を考慮する。これを反映すると４月５日前後には日常生活に戻ることが可能かもしれない。先だって韓国教育部はすべての保育園と幼稚園、小中高校の始業を当初の９日から２３日に、更に２週間延期した。筆者の予測が正しければ、始業を４月初めまでに更に延期する必要があるということだ。

大学の場合、大変でも対面授業の代わりにオンライン授業を続けるべきだ。外国人留学生は自国での在宅授業が避けられない。教員と生徒がともにオンライン講義による授業の質の低下を最小限に抑える方法を講じなければならない。

筆者の統計予測が外れてもいいから、どうか一日も早く新型コロナウイルスが消えることを切に願う。

金忠洛（キム・チュンナク）／釜山（プサン）大学統計学教授、元韓国統計学会長