米国の利下げで通貨安戦争がまた始まる(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2019.06.11 16:02
世界経済をこの10年間牽引してきた米国経済が減速する兆候を見せている。先月の新規就業者は当初の予想の半分にもならない7万5000人だった。全米経済研究所(NBER)によると、米国経済は2009年6月の底から今月まで120カ月間も拡張局面を維持してきた。情報通信革命のおかげで史上最も長い景気拡張を見せた1991年3月から2001年3月までの10年間に続いて2番目に長い。これから数カ月続けば史上最長記録を更新する。しかしこれは遠からず景気収縮局面がくる信号と見ることができる。月が満ちて欠けるように景気も循環するからだ。この余波で世界は米国主導の通貨安戦争にまた巻き込まれる可能性が高い。
米国の景気拡張局面が長期化している理由はまず、果敢な財政および通貨政策から見いだすことができる。2008年に金融危機が始まると、米国政府は財政支出を大きく増やした。2007年末に国内総生産(GDP)比63%だった連邦政府の負債総額は2012年以降には100%を超えた。米連邦準備制度理事会(FRB)の通貨政策も積極的だった。2008年にFRBは政策金利を5.00-5.25%から0.00-0.25%まで引き下げた。さらに3回の量的緩和を通じてマネタリーベースを3兆ドル以上に増やした。株価など資産価格が急上昇し、GDPの70%を占める消費を中心に景気が拡張した。昨年4-6月期からは実際のGDPが潜在GDPを上回るほど景気が良くなった。