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韓経:【コラム】100円=1000ウォン時代の「祝福」=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.10.10 08:53
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8月の息が詰まるような猛暑の中で飛び込んできたニュース。トルコ・リラ暴落で海外ブランドを半額で買える機会ができたとのことだった。俗っぽい言葉で「他人の不幸は自分の幸福」とでもいうか。リラはとうとうポータルサイトのリアルタイム検索ワード1位に上がった。

トルコだけでなかった。インドネシア・ルピア、ロシア・ルーブル、インド・ルピーも次々と下落した。米国の経済好況にともなうドル高が新興国に津波のように押し寄せたのだ。これに先立ちブラジル・レアルとアルゼンチン・ペソは早くからグロッキー状態だった。ベネズエラは国の看板を下ろさなければならない状況に置かれた。慢性的な経常収支赤字に対外債務が多く政府部門の効率性が落ちる国家が大部分だ。

 
そうだとしても最近のドル高は新興国通貨にとても苛酷だ。すぐに状況を反転させるカードもない。自国の金利を大幅に上げても外国人投資家は先を争ってドルを回収している。すでに計算は終わった。米国経済はさらに好調になり、新興国通貨は現在よりさらに落ちるだろう。どうせ時間は外国人の味方だ。後で通貨価値が底を打った時に再びやってきて安値で転がっている株式と不動産、企業を買いあさるだろうという判断だ。

新興国は薄情だと考えるだろう。だが他国の好況を責めることはできない。それが為替相場ゲームの残忍な属性だ。為替相場は徹底して相対的だ。天井も底もない。100対1の交換比率が10対1、そうでなければ1000対1に行くこともできる。片方の経済的能力が桁違いに優れればもう片方の通貨は地獄を味わうことになっている。米国経済の疾走はとどまるところを知らない。今年に入り3回金利を上げた米連邦準備制度理事会(FRB)はすでに地獄の道を描いておいた。年末に一度、来年に3回ほど追加で金利を引き上げるということだ。米国が金利を上げるたびに世の中で最も安全な投資資産である米国債はそれだけ安くなる。新興国としては驚き飛び上がる状況だ。

リラ暴落を他人事のように考えた韓国人が必ず気にしなくてはならないことがある。飛び石連休を楽しむために8日に休暇を取り日本に3泊4日の観光に行ってきた数万人も同じだ。韓国ウォンの価値はなぜ過去のように打撃を受けないのだろうか。われわれはどんな理由で「100円=1000ウォン時代」を謳歌しているのだろうか。理由は3種類だ。国際競争力を備えた輸出企業、経常収支長期黒字、財政健全性を後押しできる成長率だ。こうした条件がなくなれば4000億ドルを誇る外貨準備高も砂の城にすぎない。

最近『ギリシア人の物語』を完結させた日本の作家塩野七生は20代で訪れた地中海旅行をこのように回想した。東京オリンピック(1964年)が終わった直後に始めた旅行だった。「1ドルが360円に決まっていた時期でした。金がなく船員の仕事を手伝う条件でただで船に乗って行きました。地球を半分近く回るのに9年もかかったのは日本が貧しかったためです」。古代ギリシャとローマを縦横無尽しながら欧州の知性界を驚かせた小説家も若い日の苦しさをどうしても浪漫的に包装できなかったようだ。

為替相場は国家的自負心と国民生活の質と直結している。米国と日本が良く暮らせば韓国も良く暮らさなければならない。あるいは中国が揺らげばその衝撃を耐えられるほどの実力を備えなければならない。韓国が超ドル高に無風地帯として残っていられるのは韓国経済の将来に対する多くの人たちの心配を振り払える可能性が存在するということを意味する。どの程度残っているか計りにくいが、韓国経済がこのゴールデンタイムを逃さないように願う。苦労して確保した国家的力量をしっかり保存して育て海外に出て行く若者たちが狼狽することがないことを希望する。

チョ・イルフン/編集局副局長



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