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【コラム】お金ばかり追う韓国社会は危険だ

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.08.16 13:32
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飛行機が出発するまで時間に少し余裕があり、仁川(インチョン)国際空港で本の原稿のアイデアを記録するノートとペンを買おうと歩き回った。ところがノートとペンを売っているところを簡単には探せなかった。私の前には有名デザイナーがデザインした高価な服やツヤのあるハンドバッグを販売する店ばかりがあり、そこで働く女性や客も全く関心がない表情だった。続いて私は酒類販売店、高級腕時計、香水および化粧品、電子機器売り場を経て、ついに書店の隅に隠れていた、私が必要とするものを発見した。

このような光景は私がここに住む前に見た空港の姿ではなかった。当時、ここはぜいたく品を消費するところではなかった。いつからか、あまりにも誤った方向に進んでいる。単純に経済的な側面で空港を通じて収益を出すことを考えれば、こうした状況は全面的に妥当だろう。裕福な顧客が高価な時計や有名デザイナーが作った服を購入することで生じる利益は、ノートや果物、紫外線遮断剤を一般人に販売することで生じる利益よりもはるかに大きいからだ。その結果、全体的な空港の文化は信じがたいほど歪んだ。

 
ソウルの博物館のカフェで本を読もうと思って入ると、テーブルの上に雑誌が置かれていた。それは裕福な中国人観光客を狙って洗練された写真を掲載したファッション雑誌だった。その雑誌はデザイナーが伝統韓服を現代的に変形した高価な女性用韓服を集中的に扱っていた。私はモデルが見せるポーズを見て衝撃を受けた。精巧な韓服ドレスを着て豪華な家具のそばに立つ女性は挑発的なポーズを見せていた。彼女たちの表情からは極端な放縦と倦怠が感じられた。

もともと韓服の特徴は端雅と繊細の理想的な調和にあり、享楽や倦怠とはいかなる関係もない。限られた中国人富裕層の好みに合わせるためにそのように表現したとみられる。雑誌を制作した人はこう話すだろう。「裕福な中国人観光客1人を説得し、この有名デザイナーが作った韓服を購入させることができれば、ソウルの歴史に関する数百冊の本や伝統パンソリ公演よりも多くの利益を得ることができる」。

一つ確実なのは、私たちが富の創出と集中、そしてそれによる危険な文化歪曲現象を解決できなければ、生涯見られなかった規模の政治的急進主義を芽生えさせる結果が表れるという点だ。フランス革命やパリ・コミューンのように人為的な手段を通じて、より平等な社会を作ろうとした極端な事例で、どのようにこの問題を扱ったのかは説明しない。単にそういう歴史的な事例で使った極端な処理方式が次世代で途方もない反発を招くことで、本来の意図とは違う、破壊的な側面が強かったという点を話しておきたい。

儒教では長期的な観点で洗練された方式で社会的・経済的平等問題を扱っている。たとえ朝鮮王朝の抑圧的な「封建的」階級体制が直面する現実だったとはいえ、王室と両班(ヤンバン)の家庭で質素な生活様式が要求され、18世紀と19世紀に欧州で見られたような放縦と浪費行為が自制されたという事実を忘れている。

孔子は不平等に関心を向けるべきだ(患不均)とし、世宗のように孔子の思想を追従した人たちは不平等問題を大きく扱い、長期的な解決策を模索した。儒教的な観点で見た機会の均等問題は大韓民国の憲法の前文に明示されている。大韓民国憲法によると、そのような富の集中による社会の歪曲は根本的な違憲と解釈できる。「政治・経済・社会・文化のすべての領域において各自の機会を均等にし、能力を最高度で発揮するようにし、自由と権利に基づく責任と義務を完遂させ、中では国民の生活の均等な向上を期して…」。

私たちの社会に根本的な不平等が存在しないと考えれば、結局は極端な状況につながり、暴力的な対決を呼ぶことになるだろう。貧富の差を招く原因をなくそうとせず特定層に支援金を与えるのは、心理的に健康でない依存性をあおるだけだ。安定した社会を形成するのにも役に立たない。真の機会の平等を提供する健康な文化を築く必要がある。ところが、私たちはまだそのような過程についての議論を始めてもいない。

エマニュエル・パストリッチ地球経営研究院長

◆外部者執筆のコラムは中央日報の編集方針と異なる場合があります。

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