【中央時評】文在寅大統領の「偉大な後退」(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2018.08.03 15:25
最低賃金の逆襲は約220年前のフランス大革命当時にあった有名な「半額牛乳事件」を思い出させる。恐怖政治をしたロベスピエールは革命支持勢力だった庶民のために牛乳価格を半分に引き下げるよう命じた。その後、牛価格の暴落→牛飼料価格の騰落→牛乳価格の暴騰という連鎖反応を招き、結局はロベスピエールを没落させた。歴史から教訓を得ることができないのが歴史の教訓といった。所得主導成長が似た運命を迎えている。賃金引き上げは職場不安定→物価上昇→消費冷え込み→景気後退を経て実質所得を減少させる悪循環の沼に向かう。不平等と二極化を解消しようという善意だったが、庶民の不安定な職場をさらに脅かしている。
文在寅(ムン・ジェイン)政権が展開する社会主義的分配の正義に共感する。111年ぶりの猛暑の中で眠れない屋根裏部屋の人たちを心配し、貧しい人たちにもう少し分け与えようということに誰が反対するだろうか。ところが実物経済をよく知らない運動圏と市民運動家、世情に疎い学者の絶妙な組み合わせが現実とかけ離れた机上の空論を実験している。賃金を上げたので消費が増えるとし「やればできる」と言い張る。一方では不服従運動が起こっているが、自分の確証バイアスに閉じ込もって傲慢と独善の中で強行する。60%序盤で落ちた大統領の支持率は不況の影響も大きいが、このような固執に対する失望感が込められている。