【コラム】クアラルンプールの善竹橋(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2017.03.03 15:05
北朝鮮軍偵察局所属の工作員カン・ミンチョル大尉の人生は数奇だった。ミャンマー(旧ビルマ)を訪問した全斗煥(チョン・ドゥファン)大統領を狙って1983年10月9日、アウンサン廟の屋根に爆弾を仕掛けたが、暗殺に失敗した。到着前に予行演習をしていた軍楽隊の演奏を勘違いし、ボタンを誤って押したからだ。大韓民国の閣僚など17人を殺害したカン・ミンチョルは死刑を言い渡された。
北朝鮮から派遣された工作員3人組のうち2人は逮捕の過程で死亡した。カン・ミンチョルも手榴弾の安全ピンを抜いたが、すぐに爆発して片腕を失った。偵察局が工作員の正体を隠そうと自爆用として渡したのだ。自分が消耗品にすぎなかったことを悟ったカン・ミンチョルは北朝鮮に背を向けた。北朝鮮の犯行を強く否認していた平壌(ピョンヤン)政権もカン・ミンチョルを捨てた。結局25年間服役し、2008年に死亡した。