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【社説】大統領・与野、「非常事態」であるほど民心尊重すべき=韓国

ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2016.09.26 15:12
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朴槿恵(パク・クネ)大統領は25日、金在寿(キム・ジェス)農林畜産食品部長官に対する国会の解任建議案の議決を拒否すると明らかにした。これに先立ち、朴大統領は24日、長次官ワークショップで「国が危機に置かれている非常事態にあえて形式的な要件も備えていない解任建議案を通過させたのは遺憾」とし、拒否する意向をほのめかしていた。

朴大統領の言葉どおり、野党「共に民主党」と「正義党」が提起した金長官解任建議案は少なくない問題をはらんでいるのが事実だ。解任理由として指摘された「安い不動産費用」「母親の医療恩恵」などの疑惑はほとんど事実でないことが明らかになった。野党圏の「国民の党」黄柱洪(ファン・ジュホン)議員でさえ「事実関係が不十分で政治的攻勢に伴うもの」と批判したほどだ。二野党は「地方の学校を出た“土のスプーン”と無視された」という金長官のSNS上のコメントも解任理由に挙げたが、金長官はこれに対して公式謝罪したことがある。このため二野党の解任建議は政略的な発想による小細工と言っても過言ではない。

 
だが、解任建議にいくら瑕疵が多くても国会を通過した以上は大統領もこれを尊重する義務がある。それが民主主義だ。総選挙の民意に従うことでもある。だが、朴大統領は「非常事態」だと強調しながら解任建議を一日で一蹴してしまった。22日にも「このような非常事態に乱舞する誹謗と未確認の暴露性発言は社会を動揺させ混乱を加重させる結果をまねく」と述べていた。

「誹謗」と「暴露性発言」が何かは明らかでないが、朴大統領の側近であるチェ・スンシル氏らが関与したミル・Kスポーツ財団疑惑と無関係ではなさそうだ。北核問題・経済危機に慶州地震まで重なり国が非常事態に処していることに疑いの余地はない。だが、過去にIMF通貨危機や北朝鮮の1回目の核実験のような非常事態下でセヌリ党の前身だったハンナラ党も金大中(キム・デジュン)・盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府の実情や不正疑惑を執拗に提起していたではないか。戦時状況でもないのにそれなりの根拠を基に提起された疑惑を「非常事態」を全面に出して一蹴するのは適切でない。事実でないなら事実に沿って説明するべきで、「言及する一考の価値もない」という言葉だけを繰り返すようなことではない。

「協力政治」は蒸発し、「対立」が幅を利かせている国会の状況も懸念される。経済・安保の複合危機の下、与野党は長官解任建議案通過を理由に極限対立に入った。26日から開始される国政監査の異常さは言うまでもなく、山積している経済法案の処理も水の泡に帰する憂慮が大きくなった。野党にも反省するべき点は多いが、まず与党であるセヌリ党の成熟した対応が切実だ。解任建議案通過に不満が多いことは理解できる。それでも法によって決められた議事日程を拒否するのはセヌリ党が暇さえあれば非難してきた野党の運動圏式闘争政治を再演することしかならない。金長官問題には仮処分申請など法的に対応しながら、国政監査をはじめとする議事日程に積極的に参加することが野党の位置づけを狭めて民心を得る道だ。もし大統領の「心の動き」を意識して場外闘争を行うなら「与党はやはり青瓦台(チョンワデ、大統領府)の操り人形だったのか」という疑惑だけが加重されることだろう。

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