【コラム】新身分制に向かう韓国社会(2)
ⓒ韓国経済新聞/中央日報日本語版2016.08.01 09:06
50代後半の世代が高校生だった1970年代、『成文総合英語』と『数学の定石』、もう少し欲張って『英文解釈1200題』と『傾向と対策』まで消化すれば、いくら田舎でもソウルのそれなりの大学に無難に進学することができた。実力主義(meritocracy)社会とは、世襲した身分や富でなく個人の実力によって権力と財貨が分配される社会をいう。過去の韓国社会は相対的に世界のどの国にも劣らず実力主義が通用する国だった。しかしいつからか変わり始めた。
実力主義が社会構成員の大多数の同意を得る背景には2種類の仮定がある。実力の形成は個人の努力にかかっていて、結果も個人のためだという個人の責任論。そして生まれつきの能力には大きな差がなく、あるとしても努力で克服が可能だという努力無限可能論だ。両仮定とも詳細に見ると、根拠が十分でないうえ、親・家庭の背景や私教育など「非実力的要因」の影響力がますます強まった結果、大韓民国は実力主義の逆機能が純粋機能を圧倒する国に変わっていると、パク教授は把握している。最近になって教育がしだいに世襲される様相を見せていることについても、パク教授は「実力」の意味を規定する権限と統制力を持つ社会上層部の意図的な作用とともに、これまで実力主義社会が続いて「生まれつきの能力」を持つ人たちがしだいに社会の上層に集まった結果として把握する。過去とは違って「小川から龍」が生まれないのは、「小川に子を産む龍が減っていくため」でもあるということだ。