オバマ大統領が「わが軍は世界の歴史上最高」と話す時は後に座っていたバイデン副大統領と共和党のライアン下院議長がともに起立し拍手した。

オバマ大統領はこの日の一般教書演説を冗談で始めた。彼は「今回の最後の演説は短くしてみる。みなさんのうち一部は（大統領候補選挙戦が開かれる）アイオワ州に早く行きたいのをわかっている」と話すと議員の爆笑が起きた。この日本会議場には大統領選挙候補戦に出た共和党のマルコ・ルビオ上院議員、無所属のバーニー・サンダース上院議員が座っていた。

続く演説でオバマ大統領は「世界の人々は国際問題が生じた時に中国とロシアに頼らず米国を呼ぶ」として米国のリーダーシップを印象づけた。彼は「現在が危険な時期である理由は衰弱した米国の力でも“ぼんやりと見えるスーパーパワー”（中国を意味）のためでもない」とし、「今日の世界でわれわれは『悪の帝国』（ロシアなどを意味）よりは『失敗国家』（北朝鮮などを意味）にもっと脅威を受けている」と診断した。

続けて「過渡期の中国経済で逆風が吹いている」とし、中国の経済不安を国際的リスクだと指摘した。「ロシアは軌道を離脱中であるウクライナとシリアを支えるのに資源を注ぎ込んでいる」と冷笑した。イスラム国（ＩＳ）に対しては撃滅の意志を明確にしながらも「第３次世界大戦が彼らの手にかかっているという主張は行き過ぎだ」と話した。

オバマ大統領は「大統領在任中後悔されることのひとつ」として、「政党間の敵対感と疑念が悪化したこと」として政治二極化を懸念した。続けて「政治家がムスリムを侮辱すればわれわれがさらに安全になるものではない」とし、ムスリム入国禁止などを主張した共和党のドナルド・トランプ氏を事実上批判した。ＩＳに対する絨毯爆撃を主張した共和党のテッド・クルーズ上院議員に対しても「それはテレビのせりふとしては受け入れられるかも知れないが世界舞台では通じない」と一蹴した。


オバマ大統領の戦略的沈黙、北朝鮮の水爆成功の主張無視作戦（１）