【中央時評】我々は準備をしているのか=韓国
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.12.19 13:20
乙未年が暮れる。毎年のように年末に一年を振り返ると満足感よりも残念な思いが多い。それでも私個人的には、みんなが一緒に良い暮らしをする同伴成長社会を作ろうと努力したし、また「三一運動の第34人」と呼ばれるフランク・ウィリアム・スコフィールド博士(韓国名ソク・ホピル)の業績と精神を知らせたという充実感はある。
来年が初来韓100周年となるスコフィールド博士は、日帝強占期と独立運動を経験し、自らの運命を決める力を備えていない民族と国家は希望がないと力説した。解放70年を迎えた今、我々は果たして時代的課題を自ら解決する準備をしているのだろうか。時代的な課題は国内外の環境により多様に表れる。ある時代には軍事力の強化が国家的課題となり、ある時代には経済力・外交力または資本主義市場経済、自由民主主義のような体制と制度の実現が最優先課題となる。しかし国家興亡史は時代を問わず、一国が必ず備えるべき基本条件があることを教えている。それは国家共同体構成員の和合だ。
共同体構成員の和合をなす土台は統治者と国民の間の信頼だ。孔子は国家経営の最も重要な要素に「食糧(経済力)」「軍事力」「信頼」の3つを挙げ、特に「民が指導者を信頼すること」を何よりも重視した。民が信頼しなければ国は存立できないからだ。指導者に対する国民の信頼は指導者の正直さから生じる。ところが最近、朴槿恵(パク・クネ)大統領をはじめとする政府と与党は、国民の信頼を破る矛盾した話をしている。崔ギョン煥(チェ・ギョンファン)経済副首相は10日、「経済が厳しいといっても、国民が体感する景気はそれほど悪くない。危機の可能性はない」と断定した。ところが大統領と与党セヌリ党は来年の韓国経済を「危機状況」と診断し、「非常対策」を準備するべきだと主張している。少なくとも一方は嘘をついているか、世の中を見間違っているということだ。韓国経済は崔ギョン煥長官の発言とは違い、危機要素を抱えている。しかし国家非常事態を云々するほどではない。三権分立を無視して国会議長に圧力を加え、大統領が関心を持つ経済法案を職権上程しなければいけないほどの危機状況というのはもっと違う。党利党略のために国民を欺けば、政権に対する信頼が崩れるだけでなく、長期的には国に大きな危険を招く。指導者は国民に正直でなければいけない。