国定で発行される中学校の歴史教科書と高校の韓国史教科書は、現在の検定教科書と比べて記述内容と執筆方式に違いがある。記述内容に関し、黄祐呂（ファン・ウヨ）教育部長官は「韓国戦争（朝鮮戦争）挑発の責任が韓国にあるかのように記述したり北が主張する主体思想宣伝文句を無批判的に引用するのは問題」と指摘した。新しい国定教科書では、韓国戦争に対する北朝鮮の責任をより明確にし、北朝鮮体制に対する批判的な記述が増えるとみられる。

金載春（キム・ジェチュン）次官もこの日の記者会見で「最も採択率が高い検定教科書では北に関する記述で『独裁』という言葉が２回出てくるが、韓国政府に関する記述では２４回も出てくる。このような部分を国民の感情上、受け入れられるだろうか」と述べた。

国定教科書にはできる限り社会的に合意された学説と事実を記述する。金貞培（キム・ジョンベ）国史編纂委員会委員長は「国民として持つべき国史の知識程度を中学・高校に反映するべきだと考える。理念的な問題になったり過度に論争を招く部分は教科書に記述できない」と述べた。例えば「１９４８年８月１５日」が「大韓民国政府樹立日」か「大韓民国樹立日」かは学界で見解が分かれる。保守性向の歴史学者はこの日を「大韓民国樹立日（建国節）」で見る一方、進歩性向の学者は「政府樹立日」と主張する。国定教科書ではこのような論争をできるだけ排除するということだ。金委員長は大韓民国の樹立日を尋ねる記者の質問に対し、「ここでは話さない。それは学界の大きな問題の一つ」と答えた。

国定教科書は執筆陣の構成方式でも検定教科書と比較される。政府は来月初めに教科用図書国定・検定区分確定告示をした後、１１月中旬に教科書執筆陣を構成する。金委員長はこの日、「執筆陣は名望と実力がある名誉教授から若者層まで老・壮・青年をすべて合わせたチームを構成する」と伝えた。また「歴史家が現代史を一人占めするように考えるのは間違い」とし「政治史・経済史・社会・文化をまとめる方を招聘し、執筆陣を構成する」と話した。金委員長は「公募制のほかにも、関連分野の専門家に接触して招聘する方法を併行する」と説明した。執筆と審議を担当する「編纂審議会」には歴史学者のほか、教育・国語・憲法分野の学者と教師・保護者も含まれる。その間、検定教科書の場合、出版社が教授と教師を中心に執筆陣を構成して教科書を制作し、執筆期間は１年にもならなかった。

推進日程によると、来年１１月に教科書草案が出れば「インターネット公開」をする。「インターネット公開」は最近までの教育部の説明になかった部分だ。教科書の内容が最終確定し、２０１７年２月に印刷を経て、同年３月に中学・高校で国定教科書を初めて使用する。