朴槿恵（パク・クネ）大統領が中南米４カ国の歴訪を終えて今日帰国する。朴大統領は強行軍と高山病による症状でリンゲル注射を打った。その症状は数日でなくなるだろう。一方で今、大韓民国が手術台の上に上がっている。任期の半分も過ぎていないのに大統領はレームダック（ｌａｍｅ　ｄｕｃｋ）の危機に瀕している。国政運営の動力を維持するか否かは彼女の対処にかかっている。

朴大統領は蚕のまゆのように縮こまらずに、国民の前に出なければならない。今年に入ってから彼女は対国民記者会見を１回しか行っていない。自身の核心側近が関わった疑惑のある成完鍾（ソン・ワンジョン）事件が起きたのに、彼女は国民にまともに説明しなかった。今からでも彼女は事件をどう思ってどのように対処するのか明らかにしなければならない。

首相は国政のナンバー２だ。大統領は首相を任命して首相職の実行に指揮責任を負う。李完九（イ・ワング）首相は瑕疵だらけで、成完鍾事件の対処で国民の信望を失った。ついに就任６５日後に辞意を表わした。李首相や金淇春（キム・ギチュン）元大統領秘書室長らは嘘と無責任を見せた。大統領はこうした事態について道義的責任を避けるのは難しいだろう。これは成完鍾・京南企業会長が主張していた８人の疑惑が事実かどうかとは別の問題だ。

首相の空白を最短にして政権の雰囲気を一新するには、大統領は速かに蕩平策（公平中正な策）を使わなければならないだろう。自身の知識や親朴系の利害関係から離れ、道徳性と改革性を備えた人材を広く選ばなければならない。大統領は真相究明に役立つならば特検も拒まないと明らかにしたことがある。そのような意志ならば、まず国民が見ている前で大統領秘書室長・民政首席、法務部長官らが検察捜査に関与できないように指示することが必要だ。検察は秘密資金の帳簿を捜し出せずにいるのに黄教安（ファン・ギョアン）法務部長官は先回りして捜査拡大の可能性に言及している。こうしたことはまた別の疑惑を招く。

大統領が国民の前に出るのは事態解決の始まりにすぎない。セウォル号事故が起きるとすぐに朴大統領は国家改造について話した。成完鍾事件が起きるとすぐに政治改革についても話した。国家改造も政治改革も必要なことだ。しかし少なくない国民はこれに劣らず「大統領改造」も重要だと信じている。海外歴訪に出れば大統領は腕まくりをして活力と親和力を見せる。ところが国内では国民と交わる姿をまともに見せることができない。記者会見を避け、主に首席会議や閣僚会議だけで発言し、一部の付属室秘書官に囲まれて本館にちっ居しているように映っている。

時間はあまりない。今年を過ぎれば来年には総選挙、再来年には大統領選挙がある。“成功した大統領”として残ろうとするなら“大統領改造”に成功しなければならない。全斗煥（チョン・ドゥファン）・盧泰愚（ノ・テウ）の６・２９民主化宣言は、大統領選挙権を国民に投げかけたものだ。今日帰国する朴大統領は、自身を国民の中に投げかける必要がある。密閉された本館から出てオバマ大統領のように秘書室の建物に合流する朴槿恵の６・２９宣言が必要だ。