【コラム】尊敬を受ける国には大きな政治家がいる=韓国(2)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2015.01.29 10:33
「失郷民」も政治的負担だ。戦後ドイツがポーランドやロシアに割譲した領土の住民だけでなく、数百年前からチェコ、ハンガリー、ルーマニアなどに移住して住んでいたドイツ系の子孫も現在のドイツ領土から追放された。その数は1200万~1400万人と推定され、このうち47万~60万人は追放中に報復として虐殺された。彼らとその子孫の一部は戦後、「われわれは被害者」という認識の中で領土修復を要求する勢力として残った。
重要な票田とも言える彼らにドイツの政治家らはどのように接したのだろうか? 96年9月8日にドイツのベルリンで開かれた「失郷民の日」の行事での当時のヘルツォーク大統領の態度を見れば知ることができる。彼はこの日、「民族反逆者」との声を聞きながらも演説を継続した。ヘルツォークは失郷民の前で「(戦後喪失した)東プロイセン、上シレジア、東ポメラニアで生まれたドイツ人には苦痛なことだが、国際法上ここは現在ポーランドとロシアの領土。私たちは過去のドイツ領土を永久にあきらめなければならない」と強調した。4000人余りの失郷民は野次と罵倒を浴びせたが大統領はまばたきひとつしなかった。演説を終えた彼は記者らの前で「政治家が人気にばかり迎合するならその国に未来はない。ドイツの真の発展は周辺国と善隣友好をより強固にすることにあり、現実性のない過去の領土回復を叫ぶところにはない」と強調した。大統領のこうした態度がドイツの国の品格を高めたのはもちろんだ。