１日で１０兆ウォンの売り上げを記録した中国のシングルデーのショッピングイベントが終わる直前の１１日夜、アリババの馬雲会長が予告なくイベント会場場所に姿を現わした。９月にニューヨーク証券市場に上場してから世界で最も会いにくい人の１人になった馬雲会長の突然の出現に即席で記者会見が用意された。カジュアル姿の彼はズボンのポケットに片手を入れたまま特有の弁舌で自身の経営哲学を明らかにした。

普段インターネットショッピングを楽しむかとの質問に対する返事は意外だったが率直だった。「私がいま着ている服と靴もインターネットで買ったものだ。家に行けばインターネットで購入したものがとても多い。だが、私が直接買ったものはない。時間がないためだ。携帯電話でもショッピングできるようになったが私はそれをしたことがない」。

質問は世界的な話題となったニューヨーク証券市場上場に集中した。彼は「お金のために上場したのではない」という話で返事を始めた。「上場理由は経営をさらに透明にし世界の投資家と顧客に会社を監視できるようにすることで会社を建設するのに共同で参加できるようにするところにある」。

彼は、「当初は上海市場に上場しようとしたがさまざまな理由で考えをやめた。子会社のアリペイも上場する計画だが中国の証券市場に上場すれば良いだろう」と明らかにした。アリババはグループの母体である電子商取引会社で、アリペイは電子決済システムを開発して別に設立した子会社だ。

馬会長はまた、「上場後に株主の期待によるストレスに苦しんでいる」と打ち明けた。だが、株価に対する所信は明らかだった。「上場以降緊張の連続だ。投資家の期待は高いがわれわれの会社はいまやっと１５歳となり業種も新しい分野だ。正直なところストレスは途轍もない。だが、ある種の材料を活用してアリババの株価を膨らませるようなことは絶対にしない」。彼は「多くの人が金持ちなので良いと話す。これはもちろん悪くないことだがかえって大きな苦痛になりかねない」と話した。「大金持ちになれば多くの人がお金のために周りに集まることになり、道を歩く時も人々が違う視線で見つめることになる」と打ち明けた。

馬会長は、「お金を儲けることよりも使うことがはるかに難しいようだ。こうした苦痛と圧迫から抜け出すためにも、これまで稼いだお金を社会にどのように還元するのかを模索している」と話した。彼は「マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏とチャリティ活動のためにどちらがもっとお金を効率的に使うのか競争することができる」と付け加えた。

馬会長はまた、電子商取引の発展と拡散を通じ中国の農民を支援するのが当面の目標と話した。彼は「アリババグループの主要課題である無線化戦略は農民が都市住民と同じ水準の生活を享受できるようにするのが目的」と説明した。電子商取引プラットフォームを現在の有線から無線モバイルにシフトすることで有線インターネット普及が遅れている農村と都市間の格差が減るだろうという話だ。彼は続けて、「２０１４年をアリババの主力Ｂ２Ｃ（企業と個人間取り引き）のＴモールの国際化元年と定めている。世界の企業と消費者を直接つなぐ電子商取引こそ（広告とマーケティング資金が不足する）中小企業を助けるビジネスモデルだ」と強調した。

今年で６年目を迎えたシングルデーをグローバル化するという考えも示した。１０周年になる２０１９年には毎年１１月１１日が世界の人のショッピングイベントとして定着するようにするという考えを会見中に繰り返し明らかにした。シングルデーのアリババの売り上げは今年５７１億元を記録し、初年度である２００９年に比べ７００倍の成長を見せた。

馬会長は想像力が世の中を変えるという自身の人生哲学を話して会見を終わらせた。「世の中のあらゆる事物はわれわれの想像を永遠に超越する」。