アップルが“スマートウォッチ戦争”の最後のピースをはめた。アップルは９日、「ｉＰｈｏｎｅ６」とともに「アップルウォッチ」を初めて公開した。戦争の三角軸はタイゼンＯＳを率いるサムスン電子、アンドロイドウェアやグーグルナウを核心にしたグーグル陣営、ｉＰｈｏｎｅのＯＳであるｉＯＳを採用するアップルだ。

公開前に熱い関心を集めたアップルウォッチのデザインは予想とは異なり平凡な四角形だった。代わりにタッチパネルに強度の高いサファイアガラスを採用し「高級指向」であることを明確にした。大きさは３８ミリメートルと４２ミリメートルの２種類が出された。女性のように手首が細いユーザーに配慮した。また、両サイズともに基本タイプ、スポーツタイプ、エディションタイプの３つのバージョンを出した。バンドは革や金属など多様な材質に交換できるようにした。ｉＰｈｏｎｅとの接続はＷｉ－Ｆｉとブルートゥースを利用する。価格は３４９ドルから。発売は予想からやや遅れた来年初めに予定される。

事実アップルウォッチの武器はハードウェアではない。アップルはアップルウォッチを通じアナログ的感性とユーザーインターフェースの適用を最大化したソフトウェアの強みを前面に掲げた。一般の腕時計の竜頭に見える部分を回す方法で画面を拡大・縮小し探索することができる。

かかってきた電話を受け、メッセージを確認する基本的な機能は既存のスマートウォッチと異なるところがない。だが、触覚や振動をデジタルに伝達できる「タプティックエンジン」を搭載し心拍や指でのタッチのような信号を他のアップルウォッチユーザーと共有できるという点が特異だ。例えば、「いま心臓がドキドキしている。感じて」のようなメッセージも感覚とともに伝えることができる。アップルの主要武器である人工知能秘書「Ｓｉｒｉ」もそのまま移植された。「既存技術とは完全に違った新しい方式のユーザーインターフェース」というのがアップルの説明だ。

これまで世界のスマートウォッチ市場のリーダーはサムスン電子だ。日本のソニーが最初にスマートウォッチを出したが一歩遅れて合流したサムスンが世界のスマートウォッチ市場の７０％を占めている。サムスン電子はこれまで独自ＯＳのタイゼンを中心にしたギア　シリーズでウェアラブル市場トップとしての地位を固めてきた。

ここに６月にグーグルが開発者会議を通じアンドロイドウェアとグーグルナウを装備したスマートウォッチを公開し火をつけた。ＬＧがＧウォッチでグーグルのスマートウォッチを実現し、サムスンもアンドロイドウェアを搭載したギアライブを出した。５日からドイツ・ベルリンで開かれた家電見本市ＩＦＡ２０１４ではサムスンがスマートフォンがなくても通話できる「ギアＳ」を、ＬＧが世界で初めて丸い形の「ＧウォッチＲ」を公開して競争が加速化した。

一方、ＩＴ業界関係者は「アップルウォッチの発売予定日が来年初めであることからみてまだ完成された段階ではないようだ。他社より１００ドル以上高い価格も問題だが、発売日程が遅れる場合、競合企業がさらに進化した機能でスマートウォッチ市場の生態系を先取りしてしまえばアップルは市場開拓で困難を経験しかねない」と話す。スマートウォッチのトップを走るサムスンとしては年間で最大のシーズンとなる第４四半期に強大なライバルになる可能性があるアップルウォッチが出ないという点で安堵のため息をつくことができる部分でもある。