【社説】セウォル号の悲しみを利用しようとする者は誰か(1)
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2014.04.23 10:24
セウォル号沈没事故1週間後に、京畿道安山市(キョンギド・アンサンシ)のオリンピック記念館に臨時の合同焼香所が用意された。待ちこがれる生存者の便りは聞かれず、時間が流れていくほどに犠牲者が増えて遺体が次から次へと運ばれる光景に、安山は再び深い悲しみに包まれた。多くの犠牲者を出した檀園(ダンウォン)高校がある古桟洞(コジャンドン)一帯、犠牲者の葬儀室が用意された病院、オリンピック記念館や学校周辺には檀園高校の制服を着た生徒たちが三々五々集まっており、憂いに満ちた目をした市民もあちこちさまよっていた。しかし彼らは皆、外部の人を避け、警戒していた。
ある中年女性が話した。「今回、隣の家の息子さんがセウォル号で犠牲になって葬儀室に行ったところ、何だか見知らぬ女性が記者たちを相手に熱弁をふるっていた。それで誰かと尋ねたところ住民たちも知らなかった。あらゆる団体から人々が集まって困惑させている。なぜ悲しむ人々をそのままにしておかないのか」。
実際、今回の事故現場にはニセモノが作り出した混乱が少なくない。これまでセウォル号の臨時保護者対策委員会代表として活動していた人は、保護者ではなく道議員の立候補予定者だったことが明らかになった。不明家族によれば「青瓦台(チョンワデ、大統領府)に抗議訪問をしよう」と言ってあおったのも外部の人だという。放送ニュース番組に出てきて民間ダイバーを詐称しデマをまき散らしたニセモノがいるかと思えば、「1億ウォン(約1000万円)を払えば子供を出してあげる」と言って家族に接近するブローカーまで幅を利かせているという。