英国から米国に世界の覇権が移った前回の承継は平和的だった。　米国は自然に覇権を握ることになったが、‘やむを得ず’覇権という権利と責任を請け負った感もある。

覇権をめぐる米中関係も平和的かもしれない。　米国の覇権が延長されたり、米中が覇権を共有したり、中国が覇権を平和的に握ることになるかもしれない。　覇権というものが無意味な世の中が到来するかもしれない。

平和的な覇権承継のためには時間が必要だ。　中国が政治的・経済的に成長し、米中で協力関係が発展するために必要な時間だ。　そのため中国は機会があるごとに覇権を追い求めないということを明言してきた。　その時間を今、北朝鮮が奪おうとしている。　北朝鮮は社会主義権益内のソ連と中国の覇権競争を利用して利得を得てきた。　北朝鮮はいま、内部的承継の危機に米中間の承継危機を絡めて政権延長を試みている。　

覇権は経済・軍事のような部門別覇権と‘影響圏’（ｓｐｈｅｒｅ　ｏｆ　ｉｎｆｌｕｅｎｃｅ）という地域覇権に分類して見ることができる。　これまで米国に対する中国の挑戦は、貨幣問題など経済的な問題に集中していた。　軍事的な問題はとりあえず不問に付していた。　東アジアが中国影響圏なのか米国影響圏なのかもあまり透明ではなかった。　これからは米国と中国の間に入ってきた承継の危機が、すべての領域で展開される危険性が大きくなった。　まだ潜在的なことに過ぎない米中間の承継危機が早期に本格化され、すべての領域で展開されれば、北朝鮮を除いたすべての国が敗者になる。

北朝鮮の挑発で中国と米国が試験台に上がった。　これまでは北朝鮮の戦略にすべての周辺国が巻き込まれているように見える。　餌のためにクジラたちが争い、中国と米国内にいるタカ派とハト派のバランスが崩れようとしている。　北朝鮮が承継の危機という内部矛盾を、世界平和を脅かしてまで解決する機会を与えてはいけない。

キム・ファンヨン中央ＳＵＮＤＡＹ知識チーム長


【時視各角】北朝鮮の権力継承、米中間の覇権継承（１）

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